fricoさんの映画レビュー・感想・評価

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シビル・ウォー アメリカ最後の日(2024年製作の映画)

4.8

 最悪だった!延々と流れる大統領演説、至るところに吊られている人影、使い物にならない米ドル、相手に届かないPRESSロゴ、★★ワッペン…なかでもしばしば何のために加害しているのか判然としない勢力が出て>>続きを読む

ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男(2017年製作の映画)

4.3

 自由と主権のためには犠牲を避けられないことがある。本作はそれを徹底しながら、"犠牲"の視点を挟むことを忘れないのが秀逸だと感じる。どれだけ苦しい決断をしているか、だからこそ退いてはならないとも言える>>続きを読む

2度目のはなればなれ(2023年製作の映画)

4.5

戦場を現実として知る人間と歴史として知る人間の温度差が厳しい。人間を結びつけるのは経験なのだと痛感する。経験で、かつて銃口を向けあった人間同士が手を握ることができる。同様に経験で、何年も共に暮らしてき>>続きを読む

花嫁はどこへ?(2024年製作の映画)

4.5

とても晴れやかな作品だった…そういうものだと諦めてきた、もしくは諦めていることさえ認識していなかったことを、一つひとつ自身の手から覆す。女性陣はもちろん、畑を守ろうとする父親たちもそうだ。諦めない精神>>続きを読む

ロスト・キング 500年越しの運命(2022年製作の映画)

4.2

今までのやり方で見つからないなら、全く新しい担い手に任せた方が良いのかもと思えた。特にある個人の足跡を辿るなら、客観をあまりにも重視しすぎて他の見解がベースに入ってくるアカデミアよりも、きちんと一次文>>続きを読む

インスペクション ここで生きる(2022年製作の映画)

5.0

 すごいな、これは分かる人にのみ向けた作品だ。振り切りすぎだろ。でもしかと受け取った。自分は分かる側だからだ。
 ガチガチに型に嵌めたカリキュラムを修了して型に嵌った職について見せるのは、手に入らない
>>続きを読む

#マンホール(2023年製作の映画)

3.5

邦画も観よう週間。これはかなり面白かった。正直予測はできるのだが、それ込みで主人公の行く末を楽しめるスリラー的要素が面白い。GUILTYのように閉所の芝居で緊張感を保つ演技力が素晴らしかった。ネイティ>>続きを読む

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

 いいですね。必死のサバイバルとその先の安寧、生存競争に魅せられた。人間性の描写が非常に秀逸。幼馴染は主人公の意図を尊重するが、若すぎた時分は外の世界も必要だった。一方、二番目の彼は主人公の意図を決め>>続きを読む

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

4.2

神に守られないことを受け入れ、己の命さえ諦めてきた人間が、犬の愛と仲間の支えにより再び自分の意志を信じるようになる晴れやかな作品だった。しかし主人公の境遇が悲惨で、もっと幸せになって欲しい気持ちは後を>>続きを読む

場所はいつも旅先だった(2021年製作の映画)

4.1

音楽のセンスが素晴らしい。人々が映りこみつつ自然な表情で、カメラを持つ人間の人柄を窺わせる。ひどく疲れて眠れないときに、さらりと安心させてくれるように思う。

眠りの地(2023年製作の映画)

4.1

良作。"黒人は入る部屋ごとに期待された顔があり、一貫した態度を保つことなどできない(させてもらえない)"というアンソニー・マッキーのTFATWSパンフレットでの言葉を思い出した。対決する女性弁護士は特>>続きを読む

赤い闇 スターリンの冷たい大地で(2019年製作の映画)

4.7

良い意味で嫌な映画だった……今の時代から見れば当時の見てくれは"クラシカル"なのだが、猥雑さが存分に迫ってくる映像表現が素晴らしい。どうしろってんだ、それはそう、だとしてもそれを言う前に木の皮を食べる>>続きを読む

シャッター アイランド(2009年製作の映画)

4.0

頭おかしなるわ……構成として綺麗なんだが、シンプルに凄惨!精神的な負傷として観客に一端を追体験させるような映画体験が実に秀逸。頭おかしなるわ。カメラワーク、音楽、ライティングが計算され尽くしたプレッシ>>続きを読む

The Son/息子(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

これは良い。どこまでも現実的な造りで悲しくなる。主人公自身が"善い父親"を知らないということも、リアリティと残酷さに拍車をかけている。どうしろって言うんだろうな。俺自身が(全くの別件で)鬱をやったこと>>続きを読む

カード・カウンター(2021年製作の映画)

5.0

 自分を許せないままの人間が、どうにか少しでも善い方へ向かおうと足掻くトラウマケアの作品だと感じた。そして、善悪で測れない倫理の話だ。善悪で言えば完全に悪だが、"人として守り行うべき"という価値観……>>続きを読む

パーム・スプリングス(2020年製作の映画)

3.7

面白いけど怖さの方が勝ってしまうかもしれん、ルーブに閉じ込められるのは嫌かも。ただ、何に価値を見出すかという部分は好きでした。一日一日、小さな変化をもありがたく受け止められるようになるね

夜の来訪者(2015年製作の映画)

3.5

さくっと纏まっていて良い。密室で繰り広げられる会話劇、シンプルながら欲しいポイントは押さえてある。しかし、特権階級の権力と責任の話は、今の自己責任論が蔓延るこちらでもぜひとも浸透しきってほしい価値観だ>>続きを読む

モスル~ある SWAT 部隊の戦い~(2019年製作の映画)

4.5

アクションと言えど、娯楽としてのアクションとは徹底的に対極にいる良作。人体は脆く、人間は死ぬ瞬間を選べない。SWAT舞台が臨戦態勢で歩く道に子供が座り込んでいるアンバランスサに目眩がした。これが混乱と>>続きを読む

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ(2018年製作の映画)

4.0

淡々と生々しいのが素晴らしい。邦題がね、前作と合わせたんだろうけども。まあ原題も冒頭に出てくるから、まあ…
麻薬よりも不法入国がデカいシノギになっている、というのは近年の大きな痛ましい事件からもまざま
>>続きを読む

ボーダーライン(2015年製作の映画)

4.5

 法律はある程度の秩序が前提であることをまざまざと痛感させられる。飄々とした捜査官が目立つが、あれは逆で、秩序がない世界で"真っ当さ"が少しも役に立たないことを実感し続けた結果それに注意を払わなくなっ>>続きを読む

ツイスターズ(2024年製作の映画)

4.8

 素晴らしい。最上級の防災映画かつ、自身の傷と向き合い戦う人間の映画だった。
 まず災害描写の面では、風の威力を淡々と描いているのがいい。ドラマチックなスローモーションなど一切なく、飛ばされる人間は一
>>続きを読む

荒野にて(2017年製作の映画)

4.3

さすがはアンドリュー・ヘイ監督。ゴールしておしまいじゃないんだよな。ここにいていいのだ、と心底信じられるようになって初めてゴールなんだよ。アンドリュー・ヘイ監督は、全く大丈夫じゃないのに「大丈夫だよ」>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.5

 マイクロアグレッションの"失礼さ"を浮き彫りにする名作。
 いや〜ずっとドロを喉に流し込まれてるのに喉越しは良い怪作。劇伴が心地よすぎるんだよな、ウッドベースの包容力と軽やかなフルート、涼し気なピア
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デッドプール&ウルヴァリン(2024年製作の映画)

4.8

ふざけ倒しているようでいてグリーフケアというかトラウマケアの作品だと思う。間に合わなかった、守れなかった後悔と自己不信をブチ破り、なりたかったがなれなかった自分にもう一度手を伸ばしてみる悪足掻きが沁み>>続きを読む

大災難P.T.A.(1987年製作の映画)

3.8

だんだんと主人公の表情に血が通い始めるのが沁みる。
全篇英語字幕は初めてだったものの、あらすじは知っていたので楽しめた。運命は恋愛だけではなく、兄弟・家族としてもあるんだよなあ

ウィリーズ・ワンダーランド(2021年製作の映画)

3.7

一体なにを見せられているんだ やたらとシリアスな演出でやたらとしょうもない。ヤバいことほどあっさり起こっていく! これを見ていると掃除がしたくなるね…疲れているときでも安心して楽しめるホラー(コメディ>>続きを読む

イントゥ・ザ・ストーム(2014年製作の映画)

3.1

カメラに映っているということそのものを演出とした臨場感が良かった。教頭先生がいつも殿を引き受けてるあたりに人柄が窺える。ただ個人的には、竜巻災害の恐ろしさよりはパニックサスペンスの印象の方が勝ってしま>>続きを読む

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

4.8

すごい!前評判が高すぎて不安だったんだが、期待をはるかに上回る楽しさだった。世界観は直接的に馴染みがある訳ではないけど、ぜひ大元のゲームもやってみたい。
こんなに明るくドタバタやってるのに、負け続ける
>>続きを読む

幸せへのまわり道(2019年製作の映画)

3.9

"今でなく成長した後を指して肯定する"、思えばその通りで、自分自身を肯定しようとするときも大抵はこうではないか? 大人とされる歳になっても全然だ。成長していない自分を許すのは、大人にこそ必要な姿勢だと>>続きを読む

FLEE フリー(2021年製作の映画)

5.0

 壮絶の一言。生まれた環境・自分のパーソナリティによって、当人に全く毀損などないのに、ある環境にいる人と同等の生活をするまでに絶大な遠回りが必要になる。そんな経験は、安心できる環境における生活では異物>>続きを読む

ザ・ロストシティ(2022年製作の映画)

4.0

ギャハハ!楽しい!な上で、そうした作品が不躾に触れてきたような部分は丁寧に扱っている。アホ扱いが板についたハンサム、その土地に住む人、ロマンス小説に熱狂する人、そうした人々への目線が繊細で、だからこそ>>続きを読む

希望の灯り(2018年製作の映画)

4.0

淡々といい映画だった。日々をやっていこうという意欲と、日々をやっていくしかないという諦め、その両方に寄り添う作品だと思う。

ジャック・リーチャー NEVER GO BACK(2016年製作の映画)

4.0

楽しく観れる安定感があってさすがはトム・クルーズ。少佐と娘、敵たちがなんだコイツ…という顔をする中一人目が死んだままガンガン爆発を起こすリーチャーがじわじわくる。トム・クルーズはいわゆるギャグ演出では>>続きを読む

セラヴィ!(2017年製作の映画)

3.6

あ〜あ〜もうめちゃくちゃやないかい!!!!!
手綱をギリギリ引いてる方がうまくいかず、相手に委ねる方が実はいいかも、というのに同意(自戒) コントロールしようと変な期待を持たない方がいいんだよな。それ
>>続きを読む

ロスト・フライト(2022年製作の映画)

4.2

いや〜楽しい 魅せたいものが分かりやすくて良いアクション映画だった。カメラワークとアクションがとにかく骨太! アクションを魅せたいのはよく分かるんだが、セリフがたくさんあった訳でもないキャラクターのス>>続きを読む