もぐらくん

アダマン号に乗ってのもぐらくんのレビュー・感想・評価

アダマン号に乗って(2022年製作の映画)
3.0
冒頭の「人間爆弾」がいい。
歌詞も歌唱もグッときた。

誰がケアする側かケアされる側か分からないほど説明がなく、何も起こらず、川原で静かに川の流れを眺めているように鑑賞.....オープニングに出た「人生の余白」っていうのはこういうことか?

フランスのドキュメンタリーはどれも素晴らしい。当事者にしか分からない考え方や楽しみや辛さを知って、毎回目から鱗の気づきがある。
常識的に生きてる人には理解できない行動をするのは「孤独だから...育った環境が悪いから...周りがもっとケアすればどうにかなる」というものではなく、精神疾患という病気のせいで、本人も辛く治療が必要なことなのだと。
脳だって体の器官だ!病気になったって恥ずかしい事じゃないと。
この船に通えるのは、正しい知識を持って偏見に屈しない誰かのおかげでここに辿り着けた、自分の状況を理解出来ているラッキーな人達。

残念なのは、それを意識し過ぎなこと...
そつない構図とカメラワーク。
自分の状況や治療の必要性を理解して、精神疾患の辛さを的確に言葉にできる患者達を含め、自分の役割を演じているような登場人物達。
狙いが透けて見えて、これはドキュメンタリー映画なのか?ドキュメンタリー風映画なのか?と考え、エンドロールに「カメラを止めるな」的なネタバラシやクリニックの宣伝があったら完璧と思えた。
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