こんなに流れる時間を美しく切り取る映画は他にないと思う。
画面に映る全てが綺麗で特に良かったのは「音」。劇伴を最小限にすることで節々に聞こえてくる雑音、小鳥の囀りや木々の葉が風に揺れる音、都会の喧騒などがまるで自分が主人公たちと同じ場所に立っているような感覚にさせてくれてとても心地良かった。
そして現実的だけどロマンチックで、切ないけど美しいストーリー。出会いと別れを繰り返して生きていく中で、誰が運命の人かなんてその瞬間には分からなくて未来に会う誰か、もしくは過去を振り返った時に実はあの人が、、なんて気づくこともあるかも知れない。この映画の好きなところは結ばれなかったからと言ってそれを悲観するのではなく、きっとその人とは「前世」(＝パスト・ライブス)で結ばれていると前向きに捉えているところ。
結ばれた人生も結ばれなかった人生もどちらも素晴らしくて貴いものなんだと教えてくれる、一つ一つの出会いと別れを大切にしたくなる傑作でした。
