偏屈いちごくま

パスト ライブス/再会の偏屈いちごくまのネタバレレビュー・内容・結末

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

移住、文化の差異、人生設計の違いなどの積み重ねが二人を分断させてしまったけれど、前世の縁がこうやって今に繋げたし、その遺憾を来世に託していく考えが悲しくて美しかった。
大人としての自覚はもちろん、アジア人ならではの倫理観もあるか、最愛な人を前にしてもずっと胸に秘めていた恋心を我慢して距離をとる二人がなんとも切なく、運命のイタズラ的なものを感じた。
12歳からずっと青のまま貫いてきたヘソンの諦めきれない姿が哀れだが高潔だった。ノラの帰属意識に悩みながらも、NYで夢を追うブレない姿が尊敬すべきだし、アーサーが彼女の知らない一面を知ろうとして彼女の言語を習おうとしたのも形の見えない愛で感動。
誰もが悪くなくて、ただこうであるべき結末が最初から書かれたんだな。イニョンか運命か見えざる何かに。
人生に無数のwhat ifがあるが、どれがtrue endかわかる訳がない以上、今この瞬間とここまでの道のりを信じて疑わないのが1番の正解かもしれないね。

個人的に何よりも文化的差異が1番刺さった。12歳はいい歳で、一方の文化慣習を捨てきれずに新しい文化に教育されて、帰属について一生悩み続ける人生になりかねない複雑なものだね。
私は私だが、両方の文化を所持している私が2つの魂を持っているような不思議な感じ。(違う味のハリボーが合体させられるイメージ)ただとことん愛してくれて見えないところを感じ取って知ろうと努力する人もいるのよねきっと。アーサーみたいにどこかにいるのでしょう。

あとまさかのA24