シベリア北極圏・チュコトカ半島の海岸近くの小屋。
過去10年間、毎年秋に世界最大のセイウチの群れを調査するため一人で数ヶ月滞在しているロシアの海洋生物学者Maxim Chakilev氏と共に、約3ヶ月過ごして撮影されたというEvgenia ArbugaevaとMaxim Arbugaev姉弟による短編ドキュメンタリー。(2023アカデミー賞ノミネート作品)
海辺に建てられたボロ小屋で一人淡々と過ごすChakilev氏を捉えた冒頭から、ある日突然、小屋の周り一帯にセイウチの群れが。
その数、約95,000頭(更に上がりきれない6,000頭が海に)!
そして観測43日目、群れが少なくなった海岸には、死んでしまったセイウチが何匹も。。。
Chakilev氏が「メス、6〜9歳。5〜7日前に死亡」と音声メモしているシーンで、寄り添っていた子供のセイウチが動きだし、しばしChakilev氏を見つめた後、海に入っていくシーンの悲しさ。
タイトル『Haulout』は、鰭脚類(ききゃくるい: アザラシ、アシカ、セイウチ)が採餌の合間に集団で休息する休息場とのことで、これまでは海氷の上がその場所だったが、気候変動で海氷がなくなり、外洋を泳ぎ疲れ切ってたどり着いたこの海岸で、互いに踏み潰されたり、体力消耗で死んでしまうのだという。
撮影が行われた2020年には、約600頭のセイウチの死体を観測。。
海氷の融解によるセイウチの危機。
未知の世界/事実を静かに捉えた『The New Yorker』による素晴らしい短編でした。
https://youtu.be/8mKBZ9dy5fQ