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L'affaire des poisons(原題)
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『L'affaire des poisons(原題)』に投稿された感想・評価

題名邦訳「毒殺事件」。17世紀パリを震撼させた「悪魔崇拝毒薬事件」の唯一の映画化。監督は「女猫」(1958)などフレンチノワールの名匠アンリ・ドコアン。テクニカラー。

1676年パリ。広場では遺産目当ての毒殺の罪でブランヴィリエ侯爵夫人の火刑が行われていた。これを見物する宮殿のバルコニーの中に、ルイ14世の第一の愛妾モンテスパン夫人(ダニエル・ダリュー)の姿があった。彼女は王妃の如き権勢を誇っていたが、若く美しいマリー嬢の台頭に焦燥感と敵意を抱いていた。その頃、パリの街では毒殺が疑われる不審死が相次いでいた。モンテスパン夫人は毒の入手方法を求めて裏社会で暗躍する女占い師ラ・ヴォワザン(ヴィヴィアーヌ・ロマンス)に接触を図る。実はヴォワザンこそ、密かに悪魔崇拝の黒ミサを執り行い貴族たちに毒薬を売りさばくネットワークの首謀者だった。。。

黒ミサの歴史を調べていて本事件に興味を持ち鑑賞。ダークな歴史ドラマで興味深く楽しめた。ゴシックな画面は英ハマープロを彷彿とさせるが、本作の方がハマーホラー第一弾「フランケンシュタインの逆襲」(1957)よりも早い。

毒薬事件の真犯人である女占い師ヴォワザンは伝説的な悪女として知られ、あの澁澤龍彦もたびたび著書で取り上げている。彼女は占いの館を窓口に女性たちの悩みを聴き惚れ薬や闇堕胎を手配、やがて悪魔崇拝へと誘い込み、呪いの道具や毒薬の調合、果ては黒ミサ儀式への参加を促して闇のネットワークを築いていた。

このヴォワザンの悪の力に吸い寄せられたのが、欲望渦巻く貴族社会の女性たちだった。映画の冒頭で描かれるブランヴィリエ侯爵夫人の火刑はその端緒であり、ついに実質的な王妃モンテスパン夫人と悪魔崇拝との関りが判明するに至ってパリは震撼する。事件の徹底的な捜査が始まり3年間で36人が火刑に処された。

映画ではモンテスパン夫人を主人公に貴族女性の欲深さ、嫉妬、残酷さをノワール的な文法で描き出している。演ずるダニエル・ダリューは取り澄ました顔で毒を盛り、呪いの人形に針を刺し、挙句の果ては黒ミサで悪魔との契約儀式に身を投じる。

本作の主軸は歴史ドラマではあるが、広場での火刑シーン、赤ん坊殺しの匂わせ、地下教会での黒ミサなどホラー要素が強い。ゴシックかつ耽美的な映像は後の「顔のない眼」(1959)や「血とバラ」(1960)など自分の好きな耽美系フレンチホラーと通ずるものがあった。

アンリ・ドコアン監督の映画はこれが初めて。ヌーヴェルヴァーグ直前の1950年代フレンチノワールはあまり観ていないので、そのうちにドコアン監督のノワールを観てみたい。

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「Messe noire(黒ミサ)」(1928)
・製作国フランス/6分
・スタッフ不明
・キャスト不明

今回の映画について調べるうちに珍しい映画を見つけたのでメモしておく。
1928年フランス制とされる短編で、黒ミサの入場と儀式が行なわれた後、祭壇に載せられていた女性が男女それぞれへのオーラルセックスをさせられ信者たちの乱交に及んでいく様子が撮影されている。後半は実質ハードコアポルノで、恐らく1930年まで製作されていたとされるフランス産ブルーフィルムのひとつではないかと思われる。

しかし本編に漂うイメージは、後のサブカル的文脈における“サタニズム”を端的に集約していて興味深い。例えばケン・ラッセル監督「肉体の悪魔」(1971)は、本作を原案に大作リメイクしたのかもしれない!?

何にしろ、1920年代にこのようなモノがフランスで作られていたことは文化史的に認識しておきたい。
毒物事件
amazon.jp/dp/B00ZWX4934

(モンテスパン夫人を巻き込んだ、ブルボン王朝最大のスキャンダル)