kazマックスグローバーレッド

顔のない天使のkazマックスグローバーレッドのレビュー・感想・評価

顔のない天使(1993年製作の映画)
3.7
シャマラン監督が『翼のない天使』ならメル・ギブソンは『顔のない天使』だ… って配給会社が勝手につけた邦題だから全然関係ないけどね。公開当時に映画館で見て久しぶりに再鑑賞。

複雑な家庭環境で育ち孤立した少年チャックと事故で顔半分に火傷の痕があり世間から隠れるように暮らす元教師マクラウドの心の交流を描くメル・ギブソン監督デビュー作。チャックを演じてるのは後に2代目ジョン・コナーになるニック・スタール。

マクラウド先生の事をほとんど知らないのに世間は見た目と噂だけで判断するけどチャックにとってはいい恩師に出会えて良かった。よそ者を快く思わない閉鎖的な田舎の悪いとこはアメリカだけじゃなく日本でも腐るほどあるので よその国の他人事じゃございません、差別や偏見を考えさせられます。どことなく『ミツバチのささやき』を思い出させ、60年代後半のアメリカを舞台にした良質なフランケンシュタイン物語。

ただ、2000年代になって泥酔したメル・ギブソンのユダヤ人 黒人差別発言と女性警官へのセクハラ発言を知ってからこの映画を見ると「偽善じゃねぇ?」なんても思ってしまう。そんなメルギブも心の奥にはまだ良心が残っているからこんな映画を作れたのか、それともクズ人間が故にマクラウド先生のような人物像に憧れがあったのか、そんな事も含めて考えさせられます。