べし酒

ソウルメイトのべし酒のレビュー・感想・評価

ソウルメイト(2023年製作の映画)
4.0
鑑賞後に香港版のリメイクと知る。オリジナル未見だけどそのタイトルでああアレかと思い当たる予告は印象に残っていてオリジナルも観てみたいと思わされたよ。

今作は予告から想定していた物語を上手く外されたなという感じで、いわゆるシスターフッドではないし百合要素もない訳ではないが、タイトルの「ソウルメイト」が一番しっくりくるなと感じた。

貰ったバイカル湖の絵葉書を注視する描写があってからの、最後の邂逅でハウンが「全部知ってた」とは言うが、島を出てからのミソの語る彼女の虚像の真偽をどの程度分かっていたかは自分には分からなかった。
ただ小学生時代の絵描きから感じたミソの自由な感性に対する憧れが根底にあってハウンの生き方に影響していったのかなと。

ミソがソウルに行ってからハウンと再び会い高級料理店へ行くくだりは、早く社会に出ざるを得なかった者と未だ親の庇護にいる者との意識と生活スタイルの差による仲違いという描写に心が辛くなる。
映画はそこからの年月を経た和解の話しかと思っていたら然に非ずで展開の予想を良い意味で裏切られた。

まあ冒頭で学芸員が褒めの言葉として写実の絵画をまるで写真見たいでしょと言うが流石にその理由で大賞を取ることは現実的ではないと感じて、そこは冒頭の二人のお絵描き伏線から「写実の中に心が感じられる」とでも言わせてほしかったとは思う。
生きるために自由を諦めたミソがハウンに成り変わり彼女の成そうとした人生を生きることで結局ミソ自身が歩みたかった道に繋がり、それまで学んだ絵の技術と心を描く彼女の自由さが相まって芸術的に評価されたと解釈したいから。
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