脱北者とその支援者グループに迫る非常に緊張感溢れるドキュメンタリー。スマホや隠し撮りを駆使した全て本物の映像で展開する所が凄いし怖い、良く撮ったし良く制作したと思う。南北の歴史的背景や日本との関わりもサクッと語られていて構成も丁寧。脱北ルートに4カ国を渡り（昔と違いそのルートしかない現状の脱北の困難さに驚愕、そしてパンデミックが脱北に大きく影響した事実も…）移動する過酷な旅路の中、ふとあどけない表情を見せる子供には、同じ年頃の子を持つ者として泣けてきた。そして、脱北しても北は故郷であり想いを馳せる切ない姿や、命がけで逃れた後にも関わらず北を批判出来ない骨の髄まで思想を植え付けられたおばあちゃんの姿にも胸が締めつけられた。単に脱北の状況や困難さだけを描いたドキュメンタリーでは無く、当事者たちの複雑な心情も描いた作品だと思う。傑作ですね
