高杉晋作

ゴッドランド/GODLANDの高杉晋作のレビュー・感想・評価

ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)
3.8
「ファースト・カウ」もそうだったが、各カットの尺や画づくりやストーリー展開に余白を持たせて、鑑賞者に考える余白を与えるタイプの作品かと。なので眠いときに観てはいけません笑。ただ考えながら観ていたにもかかわらず、主人公ルーカス牧師のダメな意味での人間味を通してこの映画が伝えたかったことが何だったのかは、正直なところまだまとまっていない。信仰心、布教、他所者、排他主義、好奇心、カメラという装置、、レビューを読んで解釈を深めることとします。

アイスランドの原初的な景観はただただ圧巻。ロケーションそのものの力強さはもちろんだが、監督とカメラマンの意図したフレーミングやカメラワーク、定点観測のセンスも非常に高度だったと思う。ゆうに2〜3分はあるのではと感じた長回しパンワークも何度かあり、しかもそれが演者の芝居設計も含めしっかり計算されているのには唸らされた。

前半は目的地があるのと旅の緊張感もあって一本芯が通った見方ができたが、到着後の後半はストーリーがどこに向かうか分からずやや中弛み(後ろ弛み?)したかも。とにかく143分もあるし念のため目薬やフリスクは用意した方が良いけど、"神の大地"の力強さと人間の弱さを丹念に描いた力作だと思います。
高杉晋作

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