作品の物語というより、わたし自身が映される背景、つまりはアイスランドの壮大な自然にただただ圧倒される143分だった。
とにかく自然が美しく、特別な存在感を放っている。
そこにあるのではなく“いる”感覚。
生きてそこに存在している。
厳か。偉大。
どんな言葉が合うのだろうか。
当てはまるだろうか。
自然対人の画面内での比率を見ても、それは明らか。
この地球上で、人間がいかにちっぽけな生き物なのかを思い知らされていく。
本来であれば、人間が目を背けたくなるようなものごと（動物の排泄物や殺生、人間同士の仲違い、殺し合い、死など）が、壮大な自然を前にして行われることでなかなかどうして、受け入れられるとまでは言わないが些細なことに見えてくる。
わたしの感覚がおかしいのかな…
ルーカスの馬がだんだんと白骨化していく様は、ピーター・グリーナウェイの「ZOO」みたいだった。
自然の中で、自然に還っていく動物と人間と。
