みほ

コヴェナント/約束の救出のみほのレビュー・感想・評価

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)
5.0
まずダール・サリムという俳優がとにかく素晴らしかった。

ジェイク・ギレンホールが好きで誘われて見に行ったけど目を奪われたのは完全にダールだった。


個人の感想として、この映画をアクション映画と位置付けたくはない気持ちと、入口をアクション映画としてその真意をきちんと受け取ろうという気持ちと入り混じったのが率直な考えだった。

映画館で見たあと、友達と私の意見は真逆。

私→アクション・エンタメとして完成されすぎていて短絡的に捉えやすすぎる。勧善懲悪の構図が出来上がっておりそこにしか目がいかない危険性

友人→プロローグで通訳として雇われたアフガン人の存在を示唆し、エピローグでその大多数が虐殺され今も身を潜めて暮らしていることを訴えるきれいな起承転結と問題提起


とてもいい映画だったと思う。
ただ、アメリカがそもそも踏み込まなければここまで大きな犠牲はなかったのではとか、国内の反乱分子の洗い出しに手を貸してしまった(反タリバンで教養がある人たちがビザのために米軍に協力し、反タリバンであることが明確になってしまった)のではないかとか、逆に機会があったからこそAhmed家族は米国に移民ビザが取れたのではとか。

もしも夫が通訳の仕事を買って出なければ細々とでも子どもと3人でなんだかんだ幸せに暮らせたかもしれない。
渡米しても差別はあるだろうし英語が話せない奥さんにとって検討の余地(時間)すらないことはどうだったんだろう。

アメリカに残された妻と一緒に渡米する妻の対比も印象的だった。
どちらもとてつもない責任と苦労をしているのは承知だけれども、

自分の「夫の」命の危険と自分たちの「今後の生活」、「子どもたちに」父親を失わせてしまうかもしれない恐怖と向き合う『先進国の妻』であるジェイクの奥さんと、

「自分・子ども・夫」の全ての命が危険に晒されており、「移民先での未知なる不安」が存在して、そもそもこの銃撃戦を切り抜けられるのかもわからない「アフガン人の妻』であるAhmedの奥さんは、

同じ女性としてどちらもとても強く美しいなと思った。うまくまとまんない。


めちゃくちゃ違和感だったのは基本アフガンの現地語で話が進むのに、
キーシーンになるAhmedが妻に向かって「今行くぞ」的な言葉を言うシーン。
アメリカで作られた映画で、メインターゲットがアメリカ人であること、伝えたい主軸から考えても英語が確かに妥当なんだけど、英語わかんない奥さんにそれはちがうやろとちょっとおもってしまった。
けどあのシーンが英語だったからこその強い訴求力はあったと思う。


見たばっかりで考えがまとまらない。
もう一回観たい。
ものすごい映画だった。
みほ

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