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AUM: The Cult at the End of the World(原題)
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『AUM: The Cult at the End of the World(原題)』に投稿された感想・評価

題名邦訳「オウム真理教:世界終末のカルト」。

ピュリッツァー賞を受賞した英ジャーナリスト、アンドリュー・マーシャルがオウム真理教事件を考察した著書「The Cult At The End Of The World」(2023)をベースに映画化。オウム真理教の広報担当だった上祐史浩、事件を追っていたジャーナリスト江川紹子、事件被害者らへのインタビューと共に、当時のニュース映像を豊富に用いて事件の全貌を伝える。監督は映画プロデューサーのベン・ブラウンと柳本千晶。2024年夏に全米公開。日本公開は未定。

明日開票される参議院選で、極めてカルト性の強い発言を繰り返す参政党が“異例の大躍進”との予測が報じられている。総計500万票以上を得て10議席を上回るとの予測だ。個人的には正気の沙汰と思えない情勢に強い危機感を抱いている。“男女共同参画が少子化を進めた” “グローバリズムのせいで日本人の所得が落とされた” “核武装が最も安上がり”など事実誤認で短絡的かつ陰謀論的な言説が何故まかり通っているのか?

カルト団体オウム真理教による地下鉄サリン事件(1995)が発生したのは丁度30年前。中心信者には高学歴の者も多く、誰もがカルトに嵌ってしまう可能性があることを世間に示した。

原作者マーシャルは当時「東京ジャーナル」に在籍し事件を直接取材、映画では進行役を担っている。内容は既に活字等で既知のものが多かったが、事件の全貌を映像でまとめたものは本作が初めてであり仕上がりも充実していた。オウム内部で取材し信者にアプローチした森達也監督の「A」(1997)と併せて観ることで主客を補完できる。

映画では教祖・麻原の視覚障害が、出身地である熊本県八代市の水俣病に関係する事、健康薬品・ヨガ・スピリチュアルへと進み宗教団体設立、オカルトブームに乗って信者を増やしていく経緯を辿る。1990年の衆院選に東京4区から出馬。“オウムソング”などの選挙パフォーマンスで注目を集めるが落選し「社会に負けたと。考えられることは大きなトリックがあった可能性があると」「よって国家、警察、マスコミ、これからも敵に回っていくだろう」と発言。教団内を陰謀論で巻き込み日本社会に対する武装化を急激に進めていく。

前後して、奇異な言動により知名度を上げたことでバラエティ番組に出演。「ビートたけしのTVタックル」に招かれて意気投合し「私に代わって、オウム真理教の教祖をやってもらってもいいんじゃないですかね」「明日からピンクの服着て歩いて、怒られたりして」と楽しそうに掛け合う姿が映る、

当時すでに、オウム真理教問題に取り組んでいた坂本堤弁護士とその妻子が行方不明になり、ジャーナリスト江川紹子氏らが警察に疑惑を訴えていたが捜査は不十分だった。マーシャルの「戦時中、神道以外を弾圧してきた背景が宗教と警察の対立構造を生んだ。宗教問題に関わることが面倒な案件として警察の中でとらえられており、それがオウム真理教を拡大させることにつながった」との考察が興味深い。

そして、本作で最も印象に残ったのは元オウム真理教のスポークスマン上祐史浩へのロングインタビューだ。本事件で麻原以下13人の教団幹部らが死刑執行されたが、上祐は地下鉄サリン事件当時に武器調達先であるロシアに渡っていて、懲役3年の実刑の後に出所した。まるで人ごとの様に淡々と、時には笑みを浮かべながら証言する姿は不気味だ。事件の「もみ消し役」として会見を開き堂々とウソをつき続けた彼の話術は、早稲田大学時代に理事を務めた日本ディベート協会で培ったもの。

それに輪をかけたウソつきの天才が麻原だった。当時、江川氏が信者に麻原の魅力を訪ねたところ「何を訪ねてもすぐに答えを示してくれる」と話していたという。冷静に考えれば、相手に合わせた口から出まかせの答えなのだが、不安な状態の時に自信たっぷりに断言されると依存してしまいたくなる心理は解らなくもない。しかし、それがカルトに陥る基本なのだ。

人の不安や不満に付け込み、その原因として仮想敵を挙げ(陰謀論)、被害者意識を煽り寄り添うフリをするというのがカルト勧誘の典型だ。本作を観ながらその仕組みと危険性を再確認した。

オウム真理教事件から30年。事件からの教訓は薄れるどころか、むしろ社会全体がカルトに陥りやすい状況へと進んでいるように感じている。SNSのエコーチェンバー効果、YouTubeのレコメンドアルゴリズムが不安な個人同士をつなげ、陰謀論の拡散を助長する。世論誘導しカルト支配を目指そうとする層にとっては実にチョロい社会状況かもしれない。

だとすれば、参政党の躍進も解釈はできる。現状社会の様々な不安をピックアップし、それぞれに仮想敵を設定(陰謀論)した上で、寄り添ったかのような言説を唱える。その場しのぎなので言説と言説には矛盾があり支離滅裂なのだが、不安の中にいる人の視野は狭くなりがちだ。

せめて本作が日本で公開されれば教訓の足しになるだろうか。
ジャーナリスト、弁護士、信者の親、元信者、上祐ほかオウム真理教の関係者らのインタビューと、当時の映像も交えながら「オウムとはなんだったのか?」を紐解いていく。

サリン事件はリアルタイムの世代だけど、麻原が持ち上げられていた頃のことはあまり覚えていなかったので、興味深く観た。知らない事実もあり、改めて恐るべき団体だったのだな、と……。

日本のテレビ番組などでも似たような映像作品はあると思うが、「海外のジャーナリストから見たオウム」というのは新鮮に感じた。

歪んだ時代と歪んだ社会と歪んだ国が作り出した大きな闇だったのかもしれない。