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『AUM: The Cult at the End of the World(原題)』に投稿された感想・評価
櫻イミトの感想・評価
2025/07/19 15:23
4.0
題名邦訳「オウム真理教:世界終末のカルト」。
ピュリッツァー賞を受賞した英ジャーナリスト、アンドリュー・マーシャルがオウム真理教事件を考察した著書「The Cult At The End Of The World」(2023)をベースに映画化。オウム真理教の広報担当だった上祐史浩、事件を追っていたジャーナリスト江川紹子、事件被害者らへのインタビューと共に、当時のニュース映像を豊富に用いて事件の全貌を伝える。監督は映画プロデューサーのベン・ブラウンと柳本千晶。2024年夏に全米公開。日本公開は未定。
明日開票される参議院選で、極めてカルト性の強い発言を繰り返す参政党が“異例の大躍進”との予測が報じられている。総計500万票以上を得て10議席を上回るとの予測だ。個人的には正気の沙汰と思えない情勢に強い危機感を抱いている。“男女共同参画が少子化を進めた” “グローバリズムのせいで日本人の所得が落とされた” “核武装が最も安上がり”など事実誤認で短絡的かつ陰謀論的な言説が何故まかり通っているのか?
カルト団体オウム真理教による地下鉄サリン事件(1995)が発生したのは丁度30年前。中心信者には高学歴の者も多く、誰もがカルトに嵌ってしまう可能性があることを世間に示した。
原作者マーシャルは当時「東京ジャーナル」に在籍し事件を直接取材、映画では進行役を担っている。内容は既に活字等で既知のものが多かったが、事件の全貌を映像でまとめたものは本作が初めてであり仕上がりも充実していた。オウム内部で取材し信者にアプローチした森達也監督の「A」(1997)と併せて観ることで主客を補完できる。
映画では教祖・麻原の視覚障害が、出身地である熊本県八代市の水俣病に関係する事、健康薬品・ヨガ・スピリチュアルへと進み宗教団体設立、オカルトブームに乗って信者を増やしていく経緯を辿る。1990年の衆院選に東京4区から出馬。“オウムソング”などの選挙パフォーマンスで注目を集めるが落選し「社会に負けたと。考えられることは大きなトリックがあった可能性があると」「よって国家、警察、マスコミ、これからも敵に回っていくだろう」と発言。教団内を陰謀論で巻き込み日本社会に対する武装化を急激に進めていく。
前後して、奇異な言動により知名度を上げたことでバラエティ番組に出演。「ビートたけしのTVタックル」に招かれて意気投合し「私に代わって、オウム真理教の教祖をやってもらってもいいんじゃないですかね」「明日からピンクの服着て歩いて、怒られたりして」と楽しそうに掛け合う姿が映る、
当時すでに、オウム真理教問題に取り組んでいた坂本堤弁護士とその妻子が行方不明になり、ジャーナリスト江川紹子氏らが警察に疑惑を訴えていたが捜査は不十分だった。マーシャルの「戦時中、神道以外を弾圧してきた背景が宗教と警察の対立構造を生んだ。宗教問題に関わることが面倒な案件として警察の中でとらえられており、それがオウム真理教を拡大させることにつながった」との考察が興味深い。
そして、本作で最も印象に残ったのは元オウム真理教のスポークスマン上祐史浩へのロングインタビューだ。本事件で麻原以下13人の教団幹部らが死刑執行されたが、上祐は地下鉄サリン事件当時に武器調達先であるロシアに渡っていて、懲役3年の実刑の後に出所した。まるで人ごとの様に淡々と、時には笑みを浮かべながら証言する姿は不気味だ。事件の「もみ消し役」として会見を開き堂々とウソをつき続けた彼の話術は、早稲田大学時代に理事を務めた日本ディベート協会で培ったもの。
それに輪をかけたウソつきの天才が麻原だった。当時、江川氏が信者に麻原の魅力を訪ねたところ「何を訪ねてもすぐに答えを示してくれる」と話していたという。冷静に考えれば、相手に合わせた口から出まかせの答えなのだが、不安な状態の時に自信たっぷりに断言されると依存してしまいたくなる心理は解らなくもない。しかし、それがカルトに陥る基本なのだ。
人の不安や不満に付け込み、その原因として仮想敵を挙げ(陰謀論)、被害者意識を煽り寄り添うフリをするというのがカルト勧誘の典型だ。本作を観ながらその仕組みと危険性を再確認した。
オウム真理教事件から30年。事件からの教訓は薄れるどころか、むしろ社会全体がカルトに陥りやすい状況へと進んでいるように感じている。SNSのエコーチェンバー効果、YouTubeのレコメンドアルゴリズムが不安な個人同士をつなげ、陰謀論の拡散を助長する。世論誘導しカルト支配を目指そうとする層にとっては実にチョロい社会状況かもしれない。
だとすれば、参政党の躍進も解釈はできる。現状社会の様々な不安をピックアップし、それぞれに仮想敵を設定(陰謀論)した上で、寄り添ったかのような言説を唱える。その場しのぎなので言説と言説には矛盾があり支離滅裂なのだが、不安の中にいる人の視野は狭くなりがちだ。
せめて本作が日本で公開されれば教訓の足しになるだろうか。
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4
すし酢高跳びの感想・評価
2026/10/27 22:35
3.7
我々の年齢であれば、言わずと知れた宗教団体。
あの事件は、何故起きたのか。
日本は大きな闇がある事件ほど、自国のメディアやエンタメは沈黙する。ジャニーズ問題もBBCが発端だった。今回も元々は、2人のジャーナリストの著書を元にしたドキュメンタリー映で、アメリカ制作だ。
オウム真理教は、あの地下鉄サリン事件により終わりを迎える。
そこに至るまでを、当事者、被害者遺族の話を交えて進む。
ジャーナリスト江川紹子さん。
坂本堤弁護士の同僚、滝本弁護士。
一時は犯人扱いされた、河野義行さん。
拉致され殺害された仮谷清志さん。
オウム真理教家族の会、永岡弘行さん。
そして「ああ言えば上祐」の上祐史浩のインタビュー。アメリカ制作な事もあり、英語で答えていた。
上祐はJAXAにいた事があり、当時はアメリカとソ連の冷戦時代。レーガン政権は宇宙開発によりソ連を攻撃しようとしていた。
世界平和を望む彼は、宇宙開発が軍事戦争に携わってしまう危機感から会社を辞め、気が付けばヨガを通して麻原彰晃と出会う。
小さな頃に父を亡くしていた上祐にとって、父のような存在だったという。また世界大戦の敗戦を経験した親世代、その2世というのも実は根底にあるのではないか、と話す。
上祐から語られる、オウム真理教の成り立ち。
オウム真理教は医者や科学者など、高学歴の人がズラリといた。
ある日、突然現れる村人と交流を持たない人々。
工場と刑務所の中間のような建物が建つ、上九一色村。
前半は、このカルト宗教のメンバーや麻原彰晃についてが語られる。後半からは、この事件とメディアの報道についてフォーカスされていく。
メディアの罪。
日本は大きな闇がある事件ほど、メディアは沈黙する。ジャニーズ問題も、発端はBBCだった。
面白ければ何でもいい。そんな昭和時代の倫理観に乗り、このヘンテコで得体の知れないカルト宗教は、ある種持てはやされた。
朝まで生TV、とんねるず、ビートたけしが一緒にメディアに出してしまい、結果このカルト宗教を大きくする手助けをしてしまった。
時の人として出演するこの映像は、軽くショッキングだ。
そして日本で描かれない部分が、もう一つ。
創価学会と公明党。
だがこれはアメリカだって同じだ。
トランプの共和党と福音派。
福音派の多様性を認めず、中絶も反対、同性婚も反対、白人万歳、学校で祈れ(段々と乱暴でごめん)、これらの凝り固まった考え方は、私の中でISと同じに見える。
日本のカルト宗教と何が違うのか?
同じではないだろうか。
実際、ナチスの神経ガスを製造し、ロシアから大量の自動小銃やヘリコプターまで購入していた、オウム真理教。
映画の中では、ターニングポイントについても触れられていて、地下鉄サリン事件を防げたとも考えられていた。勿論、史上最悪の宗教事件だ。だが、それ以上の事が起きたかも知れない。
非常に興味深く、惹き込まれるドキュメンタリー映画。
クラウドファウンディングのリターンとして鑑賞。もっと広がれ!
#aummovie
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牛乳の感想・評価
2026/10/14 00:05
4.0
海外で視聴
日本を感じられて安心した
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