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夜明けのすべてのmiraのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.0
見終わってから思わず三宅唱また子供映画を撮ってくれ〜!と思うなどした。相変わらずロケーションがすばらしい。リバーサイド夜景フェチ的にはたまらんリバーサイド夜景に、電車の線路と行き止まりのようにたたずむ富士山。それに坂とあの会社の構造。高低差を活かしたロケーションがさいこう。上白石も松村北斗の彼女が年始に訪問するところで、上白石萌音が画面外にはけていくと彼女がやってくる。このシーン顔が見切れていてグッとくる。同僚の彼女にもなんとなしにお守りを渡す。母→娘→同僚と贈与が拡散していくのが心地よい。使っていなかった(?)自転車を磨いて渡すこともあまりにも示唆的であるが、ただ一方的なギブではなく、受け取った松村北斗は彼女に対してもPMSのイライラ時にサポートに入ったり、買ってきたどら焼きを従業員に配ったりする。この拡散および贈与の継承にうるっとくる。また、その前のシーン自転車で走っているのが心地いい。手から手、そして、声から声への継承であるし、まるでそれは太陽の光を受けて輝く星のような(上白石が夜についてのメモを読むところで光がチラつく。ここも継承/メモからの反射、があるよね)。あくまで渡す/受けとる運動で絶え間なく推進しており、120分近い上映時間でも停滞しないように作られている。それと、松村北斗が渋川清彦に対して、今の会社で働くと話をするシーン。子供がいて3人のシーンなのにまるで2人だけの世界かのように切り返される。ちょっぴりウルっとしました。
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