KunihiroMiki

夜明けのすべてのKunihiroMikiのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
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三宅監督の作品を観ていて流れてくる涙は何の涙なのか、別にそれを知りたいわけではないが、その意味もなく流れかつ懐かしい涙を催させる画面の力に惹かれて、「ケイコ」は繰り返し鑑賞した。
今回は、冒頭からその余韻に再び包まれているような感覚で、ふとするとやはりグッときてしまう。
観終わるとやはり、戻って来れない。観る前の自分とはどこか違うものの見方になっている。得難い、幸せ。

自分の乏しい知識のなかでの観測だけれど、昨今の日本映画のなかであまりマス向きな作られ方をしていない作品のほとんどが、なにか過剰に悲惨だったり、エグみやグロテクスなまでの生々しさをリアリティと思っているような、それこそが映画通が評価すべきものであるかのような傾向が大嫌いなのだけど、そういう逆張りの罠にハマっているような風潮に対する存在としても、三宅映画の颯爽さは痛快そのもので、大好きです。
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