keisuke

夜明けのすべてのkeisukeのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.0
原作未読で鑑賞。
『Perfect Days』と少し重なるところがある映画だった。

自分以外にはわからない、自分の心と身体がコントロール出来ない恐怖と苦しみ、不安。
そんな「夜」は何度もやってくる。人それぞれ、様々な「夜」。
そしてそんな、すべての夜にも様々な、いつか夜明けがやってくるのだ。
・・・そしてまた、夜がやってくる。

この映画は夜を克服する映画ではない。
でも、夜を繰り返す人々が、細々とつながりつつ、少しだけ穏やかな夜明けの迎え方を支え合う。

PMSとパニック障害だけではない。過去のトラウマだったり大切な人との突然の別れだったり、そんなそれぞれの「夜」を持つ人々が支え合う物語だった。

それは決してベタベタした依存や独りよがりの善意の押し付けでは無く、ほんの少し寄り添う程度で、出会い、さらりと別れていく。
でもそれは遠く、切れたわけではない。天の星のように、遠いようでいて数百年して届くような細いけど途切れない光。

科学教育玩具とプラネタリウムのモチーフは、原作にないものだそう。
プラネタリウムの「夜明け」や星々の孤独とつながりはこの物語に非常に合っているように感じた。

祖父も父も零細企業(町工場や看板屋)をやって苦労していたからこそ、自分は零細企業のこれからの世界での厳しさは良く分かっているつもりで、その未来に否定的だった。が、こういう様々な夜明けを待つ人達が暮らし、支え合う場として、大企業やグローバル企業とは違う場があってしかるべきなんじゃないか、、と映画を見終わったあとに思うようになった。。
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