なっきぃ

夜明けのすべてのなっきぃのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

PMSとパニック障害
それぞれ違う苦しみを抱え向き合いながら生活する2人のお話

自分自身、PMSの症状はあれほど重くないけれどパニック障害で悩んでいた時期があったので共感する場面ばかりだった。
電車に乗ると突然襲ってくる不安感と共に気分が悪くなって降りたくなってしまうだとか、家では平気なのに職場に行くと動悸がして発作が出てしまう、美容院や歯医者で椅子を倒してもらい身動きがとれない状態になると怖くて、すぐ起き上がりたくなってしまう、だから行けないとか。。

精神科へ通ってもただ薬を処方されるだけで、先生なんて当てにならない。
良くなるには自分自身でどうにかしないといけない。
仕事ができる状態ではなく休職していたときにそれを経験してしまったからか、診察のシーンは見ていて少し苦しかった。

PMSを抱える藤沢さんは、気に触ることがあるとすぐ苛立ってしまい、感情のコントロールができず周りに迷惑をかけてしまう
仕事も上手くいかず辞めてしまい、個人会社へ転職をする。そこで山添くんと出会い、次第に2人がお互いの病気を知ることになり関わりが増え、助け合っていく流れになる。
男女だからといって恋愛には持っていかずお互いに依存していない雰囲気がとてもよかった。

仕事帰りの会話で、(きっとこの病気は親や友人に話してもわかってもらえない)だから「パニック障害だとしても僕は誰にも言ってないです」って山添くんが言ってたところ、すごく共感した。

初めは、挨拶もせず態度も悪くてつまらなさそうにしてた山添くんが、少しずつ会社の環境に染まって、職場のみんなにたい焼きを買って帰るとか、会社のジャンバーを羽織り外出するところ、仕事に携わるプラネタリウムについて熱く語るところ、どんどん笑顔が増えていくところに、自分も自然と笑顔と涙が出てきそうになった。

あの自然な何気ない会話がすごく好き
何より、会社のみんなが温かい人ばかりでこんな職場で働けたら楽しいんだろうなって何度も思った。

生きているだけで疲れてしまう自分にとっての救いになる作品はこの「夜明けのすべて」のような作品なのかも
生きづらさを多くの人が感じている現代だからこそ、多くの人に伝わるし伝わって欲しい内容だった。
エンドロールも新鮮な眺めで最高でした
プラネタリウムにも行きたくなった
なっきぃ

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