鉄骨くじら

夜明けのすべての鉄骨くじらのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
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追い焚き

商業映画の中で三宅唱の細やかな抵抗みたいなものが垣間見れて良かった。雨の中のコート、この映画観た?等の世間話、職場の高低差、ヨガ教室の鏡等に抵抗を強く感じた。

人物の動きにすべて分かり易い動機づけされている。そんな中、涙ぐむ最低限の芝居と演出が良い。上白石萌音の極端な先輩ヅラはコメディ。メンタルクリニックの医者の胡散臭さ。(少し『ローズマリーの赤ちゃん』をここで思い出す。)知識をひけらかしまくる本棚。足組む、すぐ戻す、お菓子で説明。言いたげだけど言わない松村北斗の表情。(構成上、あからさまに演技をしなくてもわかる)駅のホームの動線。室内へ差し込むヘッドライトの照明が自主ぽかった。自転車に乗る女子高生3人。電動自転車に乗る主婦。等の外堀からリアリズムを埋める演出も顕著。ただ映るものすべてに、作為的にリアリズム?合理性が追求されており、映画である必要があるのか?と感じた。これが評価されるなら映画館に行くより、散歩したり、色んな人とお喋りしたり、自分の人生を生きる方が、よっぽど有意義、というか感動できるのではなかろうか?映画のための映画というより、原作のための映画。久しぶりに現代の日本映画を観て色々勉強になった。面白かった。
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