汐月ミツル

夜明けのすべての汐月ミツルのネタバレレビュー・内容・結末

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

いい映画だった‥‥。
小さな物語で、見えづらいけど本人にとってはめちゃくちゃ重大な問題を扱っているの、好きな物語だった。きっとターゲットだと思って見に行ったけど本当に見に行ってよかった。
心療内科に通って1年、頭痛外来に通い始めて1~2ヶ月、病名が付くようなものじゃないけどずっと体調が悪い今の自分にとってすごく染みる映画だった。

豪雨の始まりから天気雨で終わること、小さな会社と宇宙、空を見上げることと足元に気を付けること、色んな対比があったのも好きな構成、演出だった〜。

登場人物ふたりの感じが、恋人関係でもなく、すごい大事な友人になるわけでもなく、ただ隣の席で同年代で自分と同じように(同じ、では決してないけど‥)身体の問題を抱えてて気にかける同士として進んだのもすごくよかった。

かけがえのない関係として描かれるのではなくて(あらゆる出会いはかけがえがないけど)、ただ出会ったこと、それだけで少し前に進めることがある、朝に近付くことがある、という描き方だと受け取れました。

ちょっとデリカシーのない会話とかも、すごく誠実でいようとする相手じゃない感じがリアルだったな。

あらゆるものは変わり続けるという科学的な事実、というプラネタリウムのナレーションに引用された言葉もよかったなあ。
主観とか感情でいっぱいになるときにむしろ救いになる物理的で客観的なこと、好きです。

物語の始まりから終わりで何が変わったかというと、症状が改善してるとかじゃなくて、でも確実に変化が窺えて、そういう大きくはなくても変わっていけること、何なら変わってしまうこと、同じではいられないこと、絶対の事実と言える事象に勝手に希望を見出せる感じがずっと好きでした。