山添君と藤沢さんの二人の関係性が良い。いつまでもこの二人を見ていたい気持ちになった。
今作はずっと優しい世界が続くが、しかしそれが嘘っぽくない。登場人物の多くがどこかで傷つき痛みを抱えたからこそ、周りの人を思いやり自分が関われる範囲の世界は優しい世界にしようとしている。だから今作には説得力がある。
監督の過去作『きみの鳥はうたえる』や『ケイコ目を澄ませて』もそうだが、監督が作る作中の世界が本当に素敵だ。そこに自分も入って浸りたいと毎回思わさせられるのがすごい。
今作を見終えると、この映画は誰かにとって一生の支えになるようなそんな作品になりえると思った。僕もこれから先ふとした時に、この作品を思い出すような気がしていて、だからこの作品に出会えて本当に良かった。