ただそこにある映画だった。これはダメだとかこれは良かったとかこちらの感情を大きく揺さぶることはせずに、そういう日々があったことを知らせてくれた。スター性の強すぎる主演二人が気づいたら市井の人として街に溶け込んでいたのも、おっ、と思う節々で全てを説明しきらないところも、エンドロールのこれからも日々が続いていく感じも、「ただそこにある」につながっていく。
原作がそうなのか、意外に言いたいことをはっきと提示する映画でたじろいだけど、男女の友情が成立するのかという擦り減りきった問いについて「助け合うことはできる」という、感情や関係でなくて事実としての答えを知ることができたのは大きい。渋川清彦演じる元上司が涙ぐむシーンでは自分の知らないところで誰かが自分を心底心配してくれているという世界のあたたかさにこちらも涙ぐんだ…
