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AIR/エアのAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

AIR/エア(2023年製作の映画)
3.9
【記録忘れ】

映画って物語として楽しむ以外にも、その時代その場所の空気感をパッケージしたアーカイブとしての意義も重要。
本作は、色々な意味で「アメリカ」の再現の解像度が高く感激する。ザ・アメリカ映画。
 
◆84年当時の映像と、MTVさながらの当時のヒット曲が80年代へいざなう。ベタな選曲だかそれが良い。

◆主人公のソニーはギャンブル好きで、彼を中心とした「リスクを負わなければ大きな成功は手に出来ない」というアメリカ的マインド集団によるワイルドな交渉ファイト。

◆SNSが存在しない時代のブランディング戦略。当時から既に動画を用いたプレゼンをしていた事に、プレゼンカルチャーの萌芽を見る。
ただ、動画よりも、ステイクホルダーの心を打ち抜く生のスピーチの重要さ。↓↓
◆スピーチを重んじるカルチャー。キング牧師の名スピーチが絡むエピソードも。

◆ルールは破ってナンボだよ的なマインド。代理人を通さない直接の選手との交渉も「最後に勝ちゃいいんだよ」的に。
当時NBAであったバスケットシューズの白色の割合の規定も「罰金払えばいいんだろ、それ以上の利益を生むから何て事ねぇや」的に。
勝者がルールになるというマインド。

◆「黒人家族は母親が舵を握っている」という言説を体現する、ジョーダン母親。ソニーと対等以上にやり合う勝負師的な役をヴィオラ・デイヴィスが好演。

 ともすればこの母親が金にガメツイおばさんのように受け取られてしまうかもだけど、選手の権利を主張するの大事だよって現在に繋がる話し。
フィジカル販売からストリーミングサービスに移行して結局一部のトップ実アーティストのみに高い報酬が集まり、その他はプラットフォーム業者が大儲け、とか。今現在、アメリカで行われてる脚本家のストライキも、Netflixなんかが正当な報酬を払わず利益を独占しようとしてるから、という構造。
ここでまだ若いマイケル・ジョーダンの代わりに闘って権利を勝ち取った母親があったからこそ毎年毎年、選手であるマイケルに配分が回って来ているという。

それにより、マイケル・ジョーダンや母親は慈善事業により恵まれない人々を支援する、というめでたしめでたしのお話しでした。
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