けけ

おまえの罪を自白しろのけけのネタバレレビュー・内容・結末

おまえの罪を自白しろ(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

いろいろ読んだ後でもう一度鑑賞。
2回目の方が話がわかってる分丁寧に人物の感情まで追えるので満足度すごく上がった。
最初の会見が終わってからの晄司の行動の流れ、最初見た時は意図を汲みきれなくて急に野心?何?と誤解してたが、「柚葉を救うために、父親に罪を自白させるにはどうしたらいいか」と言う思考が「父の総理への忠誠心を(嘘で)折る」ことにつながり、だからこそあそこで木美塚側に寄ったのは晄司にとってはまっすぐなことだった。
そして、総理に見限られたと嘘をつくことで父の議員人生を結果的に終わらせたことも。

でもこの嘘はきっと晄司にとって父への「罪」でもある。
しかし父もまた、継がせるために晄司の会社を倒産させた「罪」があった。
お互いに罪があるが、お互いに目的のためには必要なことだった。

そして晄司は父に対するその罪によって、ようやく父と対等になれた、
むしろ会見後の背中への手を見るに、父殺しによって父の上に立てた、ようやく自立できたのでは無いか。

そして晄司も結局、目的のためには自分も政治家的な駆け引きをしていることを自覚し、父の期待への納得感も得た上で、父のためではなく自分のために政治家になる道を選んだ。
今後晄司がまた自分の罪を父に向けて自白する時が来るのか……

ということまで2回目の鑑賞でようやくたどり着いた。

中島健人の演技、言葉の説明少なく抑えながらも感情の動きを想像させて素晴らしかった。
なんかハラハラドキドキしたー!で終わるのもひとつだけど、深くまで観るには2回以上あったほうがいい。おもしろかった!!!

…………………以下は1回目の感想↓(記録)


重く緊迫して暗めの画面づくりだったり、揺れるカメラワークと音楽の効果もあって誘拐事件中はずっと緊張感があって心臓バクバクした。
(劇中で誘拐される子供と同年代の娘がいる身としては、あの縛られてる写真みるのすら辛くてやめてくれ…となった)

政治のアレコレを裏でごちゃごちゃ天秤にかけながらやってる男性達と、蚊帳の外でひたすらまっすぐ娘のことだけ思ってる母親の対比。発見されて病院で泣く父を見た時の麻由美の複雑な表情よ…。

主人公がどんな人間かはほとんど語られない。出てくる行動と言動のみ。
中島健人の演技は主人公然として周囲の人物の圧に負けず、途中からのただのまっすぐな人間じゃないな…とわからせる表情、あそこをもう少し見たかった。
もう少し人間像を深掘りしてみてみたかった気もするが、幹事長との中盤の対話、からのラスト、この世界でのチャンスを掴むことにした若者の野心が見えたのはおもしろかったな。

父の最後の罪の自白はまさかの自分宛だった。その自白を受けてなお父の後を継ぐのか、越えに行くのか、こいつも一筋縄じゃいかなそうだな…という意味でニヤリとしたラストでした。
けけ

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