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マネーショット Pornhubは語るのhasisiのレビュー・感想・評価

3.6
エロ動画サイト[Prnohub]
最大手の内情や歴史を紐解く過程で、業界そのものの構造が炙り出されてゆく。
ポルノ俳優だけでなく、運営会社や、反対派のインタビューも交え、個人で動画配信する人々を取り巻く環境や実情に迫る。

監督は、スザンヌ・ヒリンガー。
2023年にNetflixで公開されたドキュメンタリー映画です。

【主な登場人物】👙🩲
[セレーナ・フレイテス]被害者。
[ニコラス・クリストフ]コラムニスト。
[ノエル・パーデュー]業界勤務。
[ブリー・ミルズ]ポルノ監督・眼鏡。
[ホイットニー・バーゴイン]元従業員。
[マーティン・パトリキン]記者。
[マイク・スタービレ]業界関係者。

📱ポルノ俳優。
[アサ・アキラ]大使。
[ウォルフ・ハドソン]髭。
[グウェン・アドラ]眼鏡・鼻ピアス。
[シェリー・ドビル]ドレス。
[シリ・ダール]ピンク髪。
[ナターシャ・ドリームズ]大使。

⚖️弁護士。
[イオタ・ソウラス]黒ぶち眼鏡。
[ダニ・ピンター]ロングの七三分け。
[マイケル・ボウ]角刈り。

【感想】📹🛌🏼
ヒリンガー監督は、ニューヨーク出身の女性。詳細分からず。『無責任大統領と17人の告発』の監督の1人で、エミー賞を受賞しています。

ポルノの具体的な内容について詳しく解説してくれる素敵な映画。ではなくて、
会社経営の話。
序盤は、インターネット初期からのポルノの発展の歴史を振り返る場面や、撮影現場などが流れて魅力的。
レトロゲームのカタログ動画を見ている感覚に近い。

ネットの初期は、それまで本屋で購入していたエロ本が無限に拡張したので、夢中で画像を集めていた。
いまでも時々狂ったように集める時があるで、動物の習性なのだろう。

このノリのまま1本撮ってくれれば笑えて最高なのだが、
社会派の監督がそんな視聴者を甘やかす映画を撮るはずもなく、
鞭の部分がメイン。
いかがわしい動画を見ているのがばれて、正座させられて説教されるような展開へ。

[Prnohub]⬛🟨
2007年にカナダで開設されたチューブ系エロ動画サイト。黒字に黄色いロゴが目印。
2010年にポルノ大手、マインドギークの傘下に入った。
世界で10番目に多くアクセスされているウエブサイトであり、国別アクセス数では米国についで日本が2位に入っている。
(Oh😳)

サイトが巨大化してく通例。初期は無法地帯であり、紆余曲折あって、いまは健全な環境になりつつあるらしい。
(知らんけど)
動画の大量消去の裏側で何が起こっていたのかまとめてある。

以前は時々観覧していた気がする。昔の珍しいOVAやMMDなど。改革後は何もヒットしなくなったので、全然立ち寄らなくなって記憶の彼方に。

メジャーになってゆく流れが当時の運営から聞かされるので「なるほどね」とはなる。
運営からは試練を乗り越えてゆく成功体験も、ユーザー側からは退屈になってゆく過程。
(とは言え、犯罪動画なんて興味ないし)
普段の性生活に根差した興味深い内容だけど、今一つ乗り切れず、複雑な心境にさせられる。

犯罪動画の被害を扱った場面は鬼気迫るものがあって、閉鎖されなかったのが不思議なほど。
エロ動画サイトを敵視している人たちも、治安の維持に貢献しているから、一概に悪いとは言えない。

👩🏽‍💻現場の話が聞ける。
年下ばかりなのに、エロ歴史の理解度が高くて、師匠と呼びたくなるほど熱心な方々。
修羅場をくぐってきた生き残りはみなタフで、パワーを分けてもらえる。
笑えない深刻な内容が中心なので一服の清涼剤に。

演者がどのようにして収益化しているのか、視覚的に認識できるのも映画ならでは。
サブスクで生活している人達が紹介されて、
確かに最近は「お金払ってくれたら本編を見せるわ😘」が増えたので、豪邸を建てた人がいても不思議ではない。

話がそれるけど、Tubeでも最近までスポーツの生放送を自宅から中継している無茶な人達がいたけど、いまは全滅した。
日本のテレビ番組であればTVerやABEMAで見られる。
こんな風に公式が無料提供して、違法の存在意義が薄れている。
(会話できるチャット欄が目当てだったので寂しいけど)

ネットの動画に興味がない人の「1度動画が出まわったら、2度と消すことはできない」がミームになっている。
サーバーに動画が記録されていて、容量を食うから昔の動画は理由をつけてつぎつぎ消されてゆく。
たとえば、以前見かけた90年代のバラエティ番組なども、すぐにどこにも存在しなくなる。
大手に統合されてゆく流れが、それに拍車をかけている。

[OnlyFans]⚪🔵
Twitterを模したサブスク型のSNS。
演者が個人で商売できる方法の1つ。
ユーザーは、お金を払って俳優と繋がる。定期的に写真や動画が公開されるので、無法地帯を歩いて、犯罪動画と衝突するような危険性が少ない。

YouTubeだと、クリエーター向けのPatreonがよく見かける。
買い切りか、定期購読か。寄付の形式なので、額も選べて自由度高く推しに貢げる。

⚔️ポルノは戦いの歴史。
ポルノ撲滅教の人たちとの戦いが過酷で、映画業界とは共通点が多い。弁護士への相談が絡んで泥沼。
裏に隠れている組織も有名どころで、儲かる業界はそれに比例してストレスも上昇する。

[SESTA]🔯🦅
性的人身売買業者法の有効化を停止できる米国の法案。
この法律の施行によって、いくつもサイトが閉鎖に追い込まれ、そのつど配信者の働き先が消失。
さらには、配信者のSNSが検索されなくなる処置など、追い打ちがかけられた。

🕊️大切なのは配信者。
最初はPrnohubの広告動画? のように思って見ていたら、サイトを叩く人だけでなく、経営の裏側も暴いていて、気持ちの持って行き場ない。
切り取りによる印象操作も露骨で、両方を敵に回している。

ネットでの仕事も冷徹。
法律で規制されると一瞬で立ち行かなくなる。
YouTuberも、突然収益化が出来なくなるので、専門でやれないって話は聞くし。

演者にとって個人配信はどこで働くよりも安全なのに、
犯罪と一色単にされて仕事が失われては逆効果だ。
撲滅しようと過度に訴える人達が、誰よりも差別主義者なのはどの業界も変わらない。

【映画を振り返って】📹🛀🏻
📑めっちゃ真面目な内容。
動画が勝手にアップされる被害への対処報告と、サイトが整備されてゆく流れ。
・身元確認できないと動画をアップできないようにする。
・問題のある動画がアップされたら消去して、アカウントを凍結する。

まだまだ始まったばかりの業界なので問題だらけ。形が整ってゆく過程が、環境を初期から知る人たちのインタビューと合わせて再現されている。

黎明期って確かに何でもありで面白いけど、
お互いが満足できるに越したことはないので、法整備には反対する理由がない。
それでも、いまは触れることができなくなった過去なので、映像化には価値がある。
「そんな時代もあったなぁ」程度でも、
昔を思い出す行為は脳にいいので、エロオジには打って付けの内容だった。
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