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ミンナのウタのTKEのネタバレレビュー・内容・結末

ミンナのウタ(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

実在するダンス&ボーカルユニットの「GENERATIONS」(エグザイルの弟分的な?)主演の清水崇監督ホラー作品。

最近の清水崇監督は○○村というシリーズを連発しており、つい最近亜種の「忌怪島」が出たばかりだったのですが、リリースの提供早くありません?

数撃ちゃ当たるなのか?!と思っていましたが、これが意外と怖かったです…途中までは。


以下、ネタバレあります。

GENERATIONSがライブを間近に控えたある日、メンバーの小森がパーソナリティを務めるラジオ番組の局倉庫で30年前に番組宛てに送られてきた「ミンナのウタ」と書かれた古いカセットテープを見つける。

その後、ラジオ収録中にノイズ混じりの「カセットテープは届きましたか?」という女の子の声を聞いた小森は、帰宅途中で行方不明になってしまう。

マネージャーの角田は元警察である探偵の権田(マキタスポーツ)に小森の行方を探るように依頼。
権田が残りのメンバーに聞き取り調査を行うと、小森が失踪前に「鼻歌のような、妙なメロディーが頭から離れない」という事を言っていたこと、更にメンバー内でも無意識にその鼻歌を口ずさむ者、リハーサル中に女の子の霊を見たという者、その女の子が自分たちの周りに常にいるという者がいたのだった。

女の子の名前が「高谷さな」という、かつて権田の中学校の同級生だったことが判明し、過去を検索していく中、謎のメロディーを聞いたメンバー達は1人また1人と姿を消していく…。



見る前は「どうせGENERATIONSのPV映画なんだろうな…」と思っていましたが、全然そんなことはなく、普通に面白かったし怖かったです。
自分はGENERATIONSの存在は知っていましたが、メンバーに関しては申し訳ないのですが全く知らなかったので演技力に期待してなかったのですが、皆さん「きちんとホラー映画」していてよかったです。

特に関口メンディーさんのビビリ具合はやや誇張されながらも半端ではなかったです。
作中「チョット変わってる」と言われていた中務裕太さんの変わりっぷりもなかなかだったので、現実であのままだったらファンになりそうです。

探偵である権田もGENERATIONSの知識が皆無ということで一人一人インタビューという形で紹介してくれるので、彼らを知らなくても見る分にさして影響はありません。


肝心の内容ですが、今までのホラー映画って「ある事情で亡くなった不幸な人が怨霊化した」みたいなパターンが多かったのですが、今作は「生きてる時からヤバかった女の子が死して怨霊になった」という、無念を晴らせばどうにかなる…というお話ではありませんでした。

何が怖いって、さなちゃんの行動理由が「歌を通じて自分の世界に皆を惹き込みたい」という悪意ではなく願望なところなんですよね。
その願望を叶えるために「歌に命のエネルギーを吹き込む」といって断末魔を集めるというサイコパスな行動に出るわけですが、なんと自身の命をかけるほどの執着ぶりで、怨霊になるべくしてなったという、清々しいくらいヤバいものに出会えた感動がありました。
こういう、身近にいそうで理解できないもの…というのが、1番恐ろしい気がします。

なので、最後はそうなるよな…という終わり方でしたが、そこに至るまでが若干強引だった感はありました。


ホラー要素なのですが、ぶっちぎりで怖いのがさなちゃんのお母さんです。何が怖いって普通だったのが怖すぎました。

失礼を承知で言わせていただきますが、デフォルトの見た目の雰囲気が怖すぎるんですよ。そこからの急展開に思わず声が出てしまいました。

故に、最後にさなちゃんが出てきた時はガッカリしてしまいました。とにかくゴチャゴチャし過ぎなんですよね。
清水監督あるあるの「途中までは怖かったのに最後の最後で台無し」というところが出てしまったのが非常に残念です。

ホテルの廊下でメンディーが襲われるくらいのビジュアルが一番怖いのに、なんで最後の最後でサイボーグみたいになっちゃうんだ…。


また、さなちゃんの声が入ったカセットテープを誰がラジオ局に送ったのか?それがなぜ放置されていたのか?という部分は未解決です。

送ってきたというか、テープ自体をさなちゃんが特級呪物として作り出したというのはまだ想像できますが、それがラジオ局の倉庫にホコリまみれで置かれていたのは謎のままです。

カセットテープ自体は「逆再生すると声が聞こえる」「B面には別の音声が入っている」等のギミックとして使いたかったんだろうな…というのは分かるのですが、それを現代に持ってくるならそれなりの理由は欲しかったかな。

もしかしたら今回の事件は氷山の一角で、各地で歌をバラまきながら転々と存在している…という貞子みたいな増殖をしているのかもしれませんね。

あと、自分だけかもしれませんが、さなちゃんの鼻歌がいまいち頭に残りませんでした。なんならGENERATIONSのエンディングの方がバリバリ頭に残ってます。
「頭に残る歌」というのが最重要ポイントだったと思うので、この辺はもう少しトラウマ級に頭に残る歌曲にしてほしかったです。
スーパーで流れてる「ポポーポポポポー」くらいのインパクトは欲しかった(分かってくれる人はいるのだろうか?)


個人的に1番ホラーだったのは「平成5年…ってことは30年前?」というセリフでした。
30年前か…GENERATIONSのメンバーが産まれた辺り…自分も年取るわけです。
TKE

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