Omizu

瞳の奥の秘密のOmizuのレビュー・感想・評価

瞳の奥の秘密(2009年製作の映画)
3.7
【第82回アカデミー賞 外国語映画賞受賞】
アルゼンチンのミステリー・サスペンス映画で、アルゼンチンやスペインの各賞を総なめにした。またニコール・キッドマン&ジュリア・ロバーツで『シークレット・アイズ』としてハリウッドリメイクもされている。

中盤まではまあ普通のミステリーかな、と思ってたらそこからがどんでん返しの連続でなかなか面白かった。過去と現在をシャッフルする構造も効果的でよかった。イレーネ役の人が魅力的だったなー。知的で凛とした女性で惚れるのも分かるわー。

いいなと思ったのは視線の演出。イレーネとベンハミンの秘められた愛の視線、犯人の圧し殺した狂気の視線、リカルドの狂気を孕んだ視線、パブロの死を決意した視線、タイトルの瞳の奥の秘密がよくこの映画のポイントを表している。

誰も幸せにならないラスト…でもあの二人だけは笑っていてほしい。実際に舞台となった時代には政治や政府が腐敗しており、殺人犯が恩赦で釈放されるということがあったらしい。それを考えるといたたまれなくなる。

ただ欠点もある。まずパブロが身代わりになってあげるような人にも見えないし、そこまでベンハミンを守る理由も分からない。まああそこもそれが真実かは分からないという描写だけど。
あとセリフにちょっと頼りすぎな部分が多々みられたのが残念。ここまで全部セリフで言わなくても演出でなんとかできたんじゃないかなー

手放しで絶賛はできないけど、普通に面白くて、ラストにはズシンと重いものがのしかかるような、重厚な映画でした。
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