Ryo

ブルックリンでオペラをのRyoのレビュー・感想・評価

ブルックリンでオペラを(2023年製作の映画)
3.4
わたし、恋愛依存症なの
ーーーカトリーナ

鬱病により新作オペラを作ることができなくなった作曲家を中心に、彼を取り巻く内に澱を秘めた一癖も二癖もある人々が織りなすロマンティック・コメディ。

スランプに陥った主人公スティーブン(演:ピーター・ディンクレイジ)が恋愛依存症のカトリーナ(演:マリサ・トメイ)と一夜を共にすることで再びオペラのインスピレーションを得る、という展開は劇的と言えば直意的に劇的ではある。ファムファタールとして現れたと思いきや、スティーブンのミューズを自称しストーカー紛いに迫って来る場面はもはやブラックコメディの域。
物語が進むにつれ、スティーブンの妻パトリシア(演:アン・ハサウェイ)の息子であるジュリアンと彼の恋人・テレザの苦難だらけの恋模様が並走を始め、喜劇と悲劇が織り交ざっていく様はなかなか見応えがあった。

また病的な潔癖症の精神科医を演じるアン・ハサウェイの存在感がずば抜けており、彼女の一挙手一投足に目を奪われた。物語の本筋すら吹き飛ばす彼女の演技力と美しさがこの映画の魅力の柱となっている。
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