reafoo

碁盤斬りのreafooのレビュー・感想・評価

碁盤斬り(2024年製作の映画)
4.4
ともかく美しい映画だった。
昔ながらの時代劇に対するリスペクトが溢れていた。
江戸の情緒を丹念に追った拘りの映像や風物の懐かしい情緒を余す所なく見せてくれ、1つ1つの画面が色彩も美術小物も情景もともかく美しい。
前半の柳田格之進の佇まいがもう落語の清廉潔白な格之進そのもので、草彅剛が画面にいるだけで清潔さ、高潔さが体現され、滲み出ているようだった。
この空気感と佇まいは誰にでも出せるものではないように思う。
お絹の清原果耶も同じく、この父にしてこの子あり、と唸るほどの清らかさを体現していた。
國村隼も市村正親も小泉今日子も中川大志もそれぞれに存在感抜群でハマり役。
特に國村隼の源兵衛には愛おしさが込み上げてくる。
更に特筆すべきは、一見嫌な野郎で悪役の柴田兵庫(斎藤工)さえも只の悪い奴ではなく、彼なりの言い分(正義とまでは言わないが)が有り、それがかなりの説得力を持つところ。
アメコミのような単純な善と悪ではなく、柴田兵庫のハッとさせられるような言い分に胸を突かれた。
清廉潔白の意味について考えさせられた。
江戸の情緒を見ているだけでも楽しいので何度も見たい作品だった。
reafoo

reafoo