ノラネコの呑んで観るシネマ

碁盤斬りのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

碁盤斬り(2024年製作の映画)
4.7
素晴らしい。
原作は落語の「柳田格之進」。
ある事情から江戸に暮らす碁打ちの浪人・格之進が、碁仲間の豪商から金を盗んだ嫌疑をかけられ、娘のきぬが吉原に身売りして返済。
格之進はもしも後から金が出て来たら、嫌疑をかけたお前らの首をもらうと言い残して姿を消す。
基本プロットは原作落語に忠実だが、映画では浪人になる前の格之進の過去のエピソードを描き込み、妻の仇の斎藤工の存在を設定。
姿を消した格之進が何をしていたのか、仇討ちものの要素を加えて、エンタメ度を大幅に増した。
主人公を演じる草彅剛がとてもいい。
この人、朴訥で生真面目なおっさん役に絶妙にハマるんだな。
きぬ役の清原果耶も似たようなタイプだから、この親にしてこの娘あり。
父娘から滲み出るいい人オーラに、誰もが感情移入してしまうだろう。
白石和彌の演出も、初時代劇とは思えない手練れっぷりを見せる。
まあこの人は、警察とか極道とか、組織内アウトローを描くのが上手いから、武家社会からドロップアウトした浪人は、うって付けのモチーフなのかも知れない。
基本的には陽性の人情ドラマで、そこに映画ならではのアレンジを加え、見事な時代活劇とした。
万人に勧められる傑作。
ブログ記事:
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