シカク

ヴァチカンのエクソシストのシカクのレビュー・感想・評価

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)
4.5
[悪魔に憑かれた人間の、98%の原因は悪魔ではない。しかし2%は......]
オスカー俳優ラッセルクロウ演じるローマ教皇に仕えたチーフエクソシスト-アモルト神父の「エクソシストは語る」を基にした今作。

スクーターで駆ける姿が絵になる陽気で茶目っ気なアモルト神父、舞台となるスペインの教区で悪魔祓いの知識は皆無でラテン語がわからない若きトマース神父、アメリカ人で夫に先立たれて夫の遺産であるスペインの修道院に行った、長女エイミーとヘンリーの母のジュリア家族の主だった登場人物。
冒頭からエクソシストとしてのアモルト神父の彼の肩書きがわかるシーンでの、いかなる状況でもジョークを言い、怯まない勇姿に初っ端から心を掴まれました!!
そもそも予告編で気になってはいて、幸先の良い出だしで、たまにある最初は良かっけど途中から.....みたいのも全く無く、面白さが持続しさらに後半にかけ増します。ホラー言うより、ミステリーあり、アドヴェンチャーおり、ドラマパートありの活劇的娯楽映画といった感じはいつもはホラーを嫌厭する方でも見れちゃうのではないでしょうか?
確かにおどろおどろしく外連味のあるホラービ的ジュアルや悪魔と対峙する(アクションというのかな?)動きのある迫力の除霊シーンなどはVFX/CGやもちろん俳優さんの迫真の演技でディテールを表現し切っています。特にアモルト神父が悪魔に苦しめられて顔が変色し血管が浮かぶ際のグラデーションやこの手の映画といえばの血や火の存在感も十分あり。
ローマ教皇から修道院での悪魔祓いの依頼を受けて、いざ悪魔祓いをするにしてもまず2%の悪魔かそれとも98%の精神疾患かを見極めるところから、徐々に隠された背景ひいては教会の暗部に踏み込み、中盤から終盤にかけてのお互い過去に傷があるアモルト神父とトマース神父のバディっぷりは惚れました。個人的に何かと懐からウイスキーの小瓶を取り出し呷るのが、結構な飲みっぷりで「いや、一口多いよ」とツッコんでた。あと、常に悪魔に対してジョークで応酬するのはありそうでないような感じがした。
「スポットライト世紀のスクープ」や「グレース・オブ・ゴッド」で取り上げられた事象も台詞で含まれており、こういう社会的な暗い側面も目を背けず、信仰の在り方と絡め考えさせられる。
異端者審問の史実の件で、今作でのそのあたりのアティチュードがわかりますが、原作を元にして歴史的事実も絡むフィクションをうまく織りまぜ娯楽的、胸のすく映像体験でとても楽しめ、後からその辺りの背景も調べ理解を深められることも作品としての良さです。

悪魔に対して心を強く持って十字架と祈りで対峙する姿に打ちひしがれた。
まやかしや誘惑の多い現代社会を投影されてるかのような悪魔の存在に、神父の人情や友情で太刀打ちする新たな映画でした。
これはマジで是非続編を(^ ^)
シカク

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