悠

ヴァチカンのエクソシストの悠のレビュー・感想・評価

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)
3.2
エクソシスト系のホラー映画は憑依→悪魔祓いという鉄板の流れが決まっているため、それをいかに外すか、あるいは恐怖演出をどれだけ徹底して洗練できるかが作品の面白さや真新しさに繋がると思っています。
作品に何かしらの個性を持たせないとどれも元祖『エクソシスト』の下位互換の様な出来になってしまうので、ホラー映画の中でも特に個性を際立たせるのが難しいジャンルだと思います。
そんな中、本作が他の同系作品と比較して優れている点はラッセル・クロウ演じるアモルト神父のひょうきんなキャラクター性。悪魔に対して冗談を言い放つ様な神父なんていうのは他のシリアスな同系映画ではあまり出てこなかったキャラクターで、斬新で面白いなと思いました。
登場人物は良かったと思いますが、反面シナリオは『天使と悪魔』やドラマ版エクソシストの二番煎じの様で、突き抜けたものは感じられませんでした。悪魔祓いの演出も天井に張り付いたりサイコキネシスだったりと、飽きるほど見たものばかり。クライマックスの演出に関しては過剰すぎてスーパーヒーロー映画かと思いましたが、そこは一周回ってもはや好きです。
悪くはなかったですが、なにはともあれ数多のありふれた悪魔祓い映画の中の一つという枠からは出られておらず、凡作です。
悠