プロスペル・メリメの「カルメン」(オペラ「カルメン」の元ネタ)に着想を得て再構築だか新解釈だかで描いた映画らしい。
想像してたより良かった。
メキシコ・アメリカ国境沿い、LAを目指す不法移民の女性とエルパソに住む退役軍人の男性のロマンス、悲劇。愛と喪失の物語。
ポール・メスカル、最近観た「アフターサン」とはまた違う役柄で繊細さと荒々しさ兼ね備えた演技がいい感じ。これ見たら「グラディエーター2」期待値あがる。
メキシコ国境沿いのアメリカで思わぬ出会いをしてお互いに惹かれあうカルメンとエイダン、それぞれが喪失や心に痛みを抱えていたのも立場が異なっても心的に繋がることができた一因だろうと思う。
不法移民としてアメリカに渡っても困難は続くこと、エイダンの友人が国境警備隊であることも、二人の愛の障害となる。母を亡くしたカルメンが異国の地で「自分たるもの」を再発見するアイデンティティの追求のサイドストーリーも混ざっている。さらにダンスや歌も加わる。
それに、各ショットがいちいちキマッていて、現実的な話だが美しくて幻想的なシーンも時折挟み印象的なシーン多めなので、基本ラインはメロドラマだが(元が「カルメン」だから当然かもしれないが)典型的なそれではなく、もっさり感なくとても洗練されてる感じがして良い。
撮影監督は「名もなき生涯」などのイェルク・ヴィトマーだった。
ミュージカルと紹介されているものもあったが、そこまで歌や踊りが多いわけではなかった(そこそこはあるけども)。
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