すみ

almost peopleのすみのネタバレレビュー・内容・結末

almost people(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ユーロスペース最終日に駆け込み視聴。
それぞれ喜怒哀楽の感情が欠けた4人の兄弟のお話。
長男の話と次男の話が分かりやすくて個人的に好きだった。

◾︎長男「喜」
カレー食べたくなった。
おじさん二人のシュールな笑いがよかった。喜びの感情がわからないからなのか、ボイスレコーダーに撮り溜めてる言葉も感情がバラバラなのが面白かった。

◾︎長女「怒」
難しかった....。他者のいろんな怒りに触れても感じることができない。そんな自分に苛立っている?最後は孵化(答えがでず得られない感情に対して戸惑いが苛立ちになり怒り得ようとしている)をイメージしてるのか?
なぜ怒りを知ろうと思ったのか気になった。

◾︎次男「楽」
二人がいじらしくてほのぼのしててよかった。最後、外に出てしまう次男の隣に彼女が寄り添ってくれることにほっとした。
対話することでわかりあうことはできないかあ。相手が満足してないと、自分も満たされないよね。
知ろうとしてる誠実さは彼女にも伝わるよ。

◾︎次女「哀」
自分が哀しくなくても、可哀想と言われたら可哀想になってしまう。
哀しい気持ちがわからない、というのは個人的に一番嫌だなと思った。
このお話だけ、哀しい気持ちを知ろうとする描写がなかったな。

それぞれの感情が、最初からなかったように抜けているだけなのか、感じないようにしてるのか、気が付かないだけなのか、認識できないだけなのか、言葉にできないだけなのか、その辺りがわからなくて絶妙だった。

自分が持っている感情が喜怒哀楽だと、ひいてはそれが周りと同じものだとどうやって判断するんだろう。自分が気がついていない、言葉にできない感情が自分の中にあったとして、それはどう定義すればいい?
そもそも、感情を定義するのはなんだろう。感情が先か表現が先か。感情という表現できないものを表現するのか、言葉や表情で表現するから感情がはっきりと浮かび上がるのか。いろんなことを考えた。

それぞれ一つずつ感情が欠落している設定だけど、他の感情も乏しいように感じた。(次女が一番感情豊か?)
テーマに対しての分かりづらさを感じつつも、感情は相対的に成り立っているものだから、一つが欠けていたら他も乏しくなるのは現実的だなと。
他の感情を際立たせて分かりやすく描くこともできたとおもうから、プロデューサーの意向なのか監督脚本の意向なのかが気になった。
ストーリーの喜怒哀楽の順番について、哀と楽が逆だったのはなにか意味があるのだろうか?単純に年齢差?
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