やむちゃ

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーのやむちゃのレビュー・感想・評価

3.2
備忘録
2023.12.14 Filmarksさんのオンライン試写会に当選して鑑賞。

劇場へ行こうとclipしていたが、一足先に観ることができた。
Filmarksさんありがとうございます!

A24「制作」作品だと思っている方が多いようだが、今作はA24が北米「配給権」を買ったオーストラリアの作品。
最近A24のキーワードでのミスリードが目立つ(今作のサイトもA24を全面に出している)ので、ちょっと気持ちがザワザワする。まあそれだけ映画好きに信頼されている会社だということか。

母親を亡くした高校生のミアが、SNSで話題になっている「手の置物を握ることで霊が憑依する」というゲーム「#90秒憑依チャレンジ」に参加したことから巻き起こる悲劇を描いた作品。

よく出来たホラー映画だった。
上映時間も95分とコンパクト。
ただ、主人公ミアに共感することができないので、観ている間ずっと居心地が悪い。
ミアが母の死を受け止められていないのはわかるが、発想や行動が自己中心的。そのことで周りの人たちにどんどん迷惑をかけることになるという、厄介なキャラクター。
この手のホラー作品では、序盤はそうであっても終盤になって改心したりして、ヒロインとして活躍する展開が多いのだが、今作ではそれも無いままだった。

ミアは憑依チャレンジが90秒を超えてしまったことが原因で、常に霊が視えるようになっていくが、後半では完全に憑かれてしまっており、周囲の人達より霊を信じるようになってしまっている。
「霊は人を騙す」との忠告を受けるがそれも届いていない様子で、亡き母…のフリをした悪霊の指示どおりに動き、最悪の結末に進んでいく。

後半のミアの行動は、周りの人から見れば、心が壊れて妄想や幻聴・幻視に行動を左右されている、統合失調症の陽性症状がでている人のように見えるだろうと思う。私も鑑賞しながら「ひょっとするとこれってミアの妄想?」と思ってしまった。

憑依シーンは見応えがあった。
憑依が進むに従って、その人物の黒目が大きくなっていき、最後には目全部が真っ黒になることで、憑依され具合がわかる。
韓国ホラーの「コンジアム」にも同じようなシーンがあったが、今作もこの黒目が不気味で効果満点だった。
また親友の弟ライリーが憑依されて自傷行為を行うシーンは、けっこうグロく、生理的にもキツイ。ホラー耐性のない人はしんどいかも。

憑依する霊は、自死などで成仏していない浮遊霊や地縛霊(オーストラリアにこの概念があるのかな?)なのか、見た目がグロテスクな霊が多かった。(病院での少女だけ違ったのは謎)

憑依を体験した人はハイになって繰り返しやりたがるので、この憑依はおそらくドラッグの揶揄なのかなと思う。最後は破滅に向かうのも同じ。
細かなカット割りでテンポよく、次々とみんなが憑依していくシーンは、ドラッグパーティーのようだった。
人が苦しんでいる場面でもみんなスマホで撮影している様子など、今時の若者っぽいなと思った。

ラストシーンはなるほどと思わせるうまい終わらせ方。なるほどこっち側からあっち側になったのか。

続編が決定しているようだけど、ここからどう繋げるのかな?
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