猛毒のサイラス

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーの猛毒のサイラスのレビュー・感想・評価

4.3
若者の弱さが突き刺さる
ただのおバカな若者のパニック映画にならなかったのは、圧巻のリアリティがあったためであろう。フィーチャーされていたのは、”弱さ”であったと感じた。自分で決断は下せない、悪いことはしたくないけど刺激的なことはしたい、自分だけでは安心しきれなく、常に不安、何かに従って生きていたいが、誰かに指図されるのは嫌。強迫するように付きまとう矛盾をかかえた若者の弱さ。もはや、ミアの性格に恐怖を感じる、ほんの少しだけでもそれに共感を感じてしまうことに。
ここまで繊細に今の若者の弱さを描いた映画は見たことがなかった。映像はA24のお墨付き、すごく良い映画だった。

弱さ、を見た自分的には、ラストは殺す判断をすることなんてできない、自分が悪いと認めることでいい人になろうとする、そしてこの世界からの逃げる、弱い自分。それは、自分の底にいる自分(それを知っている幽霊)と話した結果なのではないだろうか、と。
猛毒のサイラス

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