2013年にフランスで起きた未解決事件を元にしたフィクション。
本作の軸足は犯人捜しではなく、有力な手掛かりもなく解決の糸口が掴めない中で捜査を続ける刑事の心理描写とその変遷に置かれており、同じく未解決事件を扱った『殺人の追憶』『ゾディアック』(前者は後に解決)と比べるとサスペンス・ミステリー的な面白さを期待してはいけない。ラストに担当刑事のカメラ目線もない。
むしろ『消えたシモン・ヴェルネール』や『獣たち』の感じに近いかもしれない、と言えば分かる人には多分伝わる。この二作はちゃんとオチあるけど。