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12日の殺人のEDDIEのレビュー・感想・評価

12日の殺人(2022年製作の映画)
3.7
残酷すぎる焼殺事件…その謎を追うフランスの刑事たち。螺旋のコースを巡る自転車と同様に悪循環が続く。どうしても犯人に辿り着けない、焦る彼らを見渡せば男性が牛耳る社会なのだ。未解決事件を元にした作品だからこそ、主人公の心の変化が見所と言える。

劇中で印象的だったのは取り調べのシーンの数々。もちろん刑事の仕事だから仕方ない部分もあるかもしれませんが、常に高圧的で厳しい雰囲気が漂います。
取り調べの対象となったラッパーの彼についてもあんな状況で「今歌え」はエンパワーメントの一種。犯人である明確な理由があればまだしも容疑者でしかないのですからね。

「やってない」という事実が後で明白になった時に、どうしても感じるのは「刑事のあの態度はないだろう」ということ。

冒頭にあった「フランスで起こる800件の殺人事件のうち20%は未解決」ともつながるが、あんな力技みたいな捜査ばかりしてては何も発展しないだろう…と思ってしまいます。

とはいえ、男ばかりの環境からそこに女性が介入するようになって、主人公にあらゆる視点が加わっていくのは面白いし、この手の映画は好みか面白いかどうこうよりも観ることで自分の考え方をアップデートさせることに意味があるのではないかと思っています。
そういう意味では間違いなく観る意義ある素晴らしい作品です。

よく引き合いに出される『ゾディアック』のようなサスペンスフルな内容を求めると違うのでその点は注意が必要です。

〈キャスト〉
ヨアン(バスティアン・ブイヨン)
マルソー(ブーリ・ランネール)
ウィリー(テオ・チョルビ)
フレッド(ヨハン・ディオネ)
ロイック(ティビー・エベラー)
ナディア(ムーナ・スアレム)
ナニー(ポーリーヌ・セリエ)
クララ(ルーラ・コットン=フラピエ)
バンサン(ピエール・ロタン)
判事(アヌーク・グランベール)

※2024年新作映画40本目
※2024年劇場鑑賞38本目
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