Omizu

12日の殺人のOmizuのレビュー・感想・評価

12日の殺人(2022年製作の映画)
3.7
【第48回セザール賞 作品賞】
『悪なき殺人』ドミニク・モル監督の新作。カンヌ映画祭でプレミアされ、セザール賞では作品賞など6部門で受賞を果たした作品。

セザール賞を獲るほどとは思えなかったが、ドミニク・モル監督の堅実でミステリアスな手腕が光る秀作と言えるかな。

モル監督はなんだかんだ好き。『悪なき殺人』もよかったし、『レミング』も好きだった。ミステリーを撮らせたら右に出る者はいないのではないだろうか。

本作は明確なカタルシスがあるわけではない。所謂「未解決事件」を描いてはいるが謎解きではない。その捜査にあたる警察官、とりわけ新たに就任した班長にフォーカスしている。本格ミステリーを期待すると肩透かしかも。

人間の葛藤を丁寧に描いていると思う。警察官として、班長として不可解な殺人にどう向き合うかを描いている。キャストはあまり知らない人ばかりだが真摯に演じていたと思う。

傑作と言うにはイマイチ足りない作品だが、雰囲気がよかった。全てが解決するわけではない謎をいい具合に残している。ドミニク・モル監督のファンとしては大満足の作品。セザール賞を受賞するほどとは思わないが、この年は国外で大きな評価を得た作品が特になかったのでこれになったのかなぁ。よく分からないけど。
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