なるほど、開始15分くらいで、あ、「シックスセンス」か、「片思い世界」ってそういう意味か、と気づいたけど、序盤であっさりネタバラシされるし、この作品の本質はその構造そのものではない。とにかく主演3人が素晴らしく、序盤は清原果耶の力強さ、中盤は杉咲花のあどけなさ、終盤は貫禄の広瀬すずが作品に背骨を通している。一方でその3人以外のキャラは弱く、杉咲花の母親と犯人が対峙するシーンの薄さや、合唱コンクールの指導者の3人に対する思いは何一つ描かれないことが勿体無い。なによりずっとメソメソしている横浜流星の無駄遣いよ。説明的なセリフや回想シーンなど、ところどころ野暮ったい演出も気になった。だけど個人的には「ファーストキス」より断然良かった。ややお腹いっぱい気味だった坂元裕二的会話劇の封印もその一因。坂元裕二、これこそ新境地と言えるのではないか。
