いち麦

窓ぎわのトットちゃんのいち麦のレビュー・感想・評価

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
5.0
黒柳徹子原作の自伝書「窓ぎわのトットちゃん」は記録的な大ベストセラーだが未読だったので全てが新鮮で心を掴まれた。活躍するTVタレント黒柳徹子の現在があるのは幼少期に彼女が通っていたトモエ学園、とりわけ奇特な教育者の小林校長先生(小林宗作:トモエ学園の創設者(自由ヶ丘学園・幼稚園と旧制小学校の再興)でもあった)のお陰なのだとよくわかった。目頭を熱くさせる麗しいエピソードの数々。まだADHDへの理解もままならないこの時代にあって、こんなに大らかにトットちゃんに向き合える教師がいた。こんなに生徒一人一人を尊重し個性を伸ばす教育を実践していた学校が存在していた。驚きながらも胸がいっぱいになった。校長先生がドイツ・ヨーロッパから持ち帰ったとされるリトミック教育を自ら実践する場面も見られた。いわさきちひろの作風にも通じる、柔らかい水彩画のような色付けのアニメーションも美しくて優しい気持ちにさせてくれた。
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