ITオタクで引っ込み思案なハウが、それぞれ異なる魅力を持つ5人の女性と交流していく中で、自分自身や様々な価値観について思考を巡らす恋愛ロードムービー。
恋愛経験が乏しいのにデートアプリ開発をしてるハウが男性としては頼りないけど、誠実でもあるので女性たちから放っておかれない「モテキ」状態。
一方、女性陣はみんな強くて聡明。
聡明だからこそ俗に染まらず、強いからこそ孤独でもあり、良くも悪くも個性的で、少々めんどくささも感じるがとても可愛らしく惹かれた。
それぞれとハウとの絡みは本作の軸であり、精神的につかず離れずな距離感とハウ御用達のアプリによる物理的な距離感の演出の妙が冴え土地勘、文化がわからない中でも非常に心情を捉えやすかった。
ビルやマンションが所狭しと立ち並ぶ一般的な香港像とはかけ離れた僻地に住む彼女たちの生活様式や人生観に、移民受け入れや香港人の異国への移住、崩壊する民主主義と既存の価値観などの社会背景が伺え、単なるラブコメに収まらない現代の香港事情を内包した社会派な側面も面白かった。
そして「最新の香港」であると同時に、私たちや劇中のハウですら知らなかった元々の香港の佇まいが、そこで暮らす人々の記憶と共に煌めいていてとても美しかった。
