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劇場版ブルーロック –EPISODE 凪のkeeeeetのレビュー・感想・評価

3.0
2024
29/100

申し訳ないけど肩透かし。

原作漫画はかなり好き。
アニメも一通り視聴済み。勿論2期も楽しみ。
本作も全く楽しめなかったわけじゃない、けれど「別に映画で観なくても…」という気持ちが拭えないまま終わってしまった。

凪は良いキャラクターだが、どうしても主人公向きと思えない。進行中の原作ではサッカーの情熱は揺るぎないものになっており、壁にもぶつかっているが、初登場時は「サッカーに興味がない」「凡人の気持ちが分からない」「頑張らなきゃ出来ない奴らが可哀想」「面倒臭がりで試験に勝ち残ることに執着がない」という、いけすかない天才であった。潔擁するチームZとの対戦で変化が訪れるのだが、その勝負が本作の大一番に設定されているため、今回凪はずっと「いけすかない天才」の状態。相棒の玲王も言うならば恵まれた御曹司。すなわち共感性が薄い二人でストーリーが進行する。
ブルーロックの肝はスポ根でありながらデスゲームの要素があること。しかし凪自身はサッカーに固執せず隙あらば帰ろうとする始末。つまり負ければサッカー人生が閉ざされるというヒリヒリした緊張感は、このキャラからは伝わらない。
勿論凪と玲王を推すファンならそれでも良い。ただ、これが初ブルーロックです、という人に真っ直ぐ面白さが届いているかちょっと疑問。
あとはあまり精神論でどうこうという漫画じゃないので、必ず理屈の上に勝敗がつく。しかし凪視点の本作では潔の脳内パズルの内訳が分からないので「誰がここにいて誰がボールを受ける、だから自分がここに行く」というロジックが明かされない。これにより結局なんか根性で負けた風になるのは勿体ない。派手なプレーも見せ場だが、思考に次ぐ思考で最適なワンプレーを弾き出し、天才を出し抜くのが魅力なことだけは伝えたい。

自分が凪というキャラが良いな、となるのは玲王を切って潔・蜂楽の組を選ぶ瞬間。共依存を抜け出して自分から成長することを選ぶ。これは格好良いし、実は玲王がキャラ的に美味しい。昇り調子で鼻高々から信頼していた身内に切られて転落、そこからの逆襲なので凪より波乱万丈だ。
ただその辺はダイジェストで流れてしまうのが惜しい。

作画の面でもテレビアニメの延長という印象。「何これやべぇ」という演出の一個は欲しかった。
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