嵐の様に移りゆく時代に翻弄された京劇役者の小楼と蝶衣を兎にも角にも美しく描いた本作。ずっと観たかった作品を映画館で観れて、本当に幸せな時間を過ごせた。ここまで映画として完成されている作品を私は知らない。今まで観てきた映画にも作品の完成度や素晴らしさに驚くことは何度もあったのだけれど、本作は完成され過ぎていて恐ろしささえ感じてしまう程だった。美しくて鬱くしくて苦しかった。レスリー・チャン演じる蝶衣がとても繊細で儚くいつかあっさり消えてしまいそうな脆い雰囲気を作中ずっと放っていて目が離せない。小楼へ思い焦がれる蝶衣の哀愁漂う佇まいに何度か涙がこぼれてしまった。なんて美しいのだろう。この時代について詳しく知った上で観れたならもっとこの作品への理解が高まったのだろうと思うと悔しくなったので、時代背景について勉強をしてからもう一度観直したい。
2023.8.9 ムービル 再鑑賞
パンフレットゲット。ポストカードも貰えて思わずにこり。
