わせさんの映画レビュー・感想・評価

わせ

わせ

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(1972年製作の映画)

3.8

普遍的な怒りが人をここまでおかしくさせるのだということに強い恐怖を感じる。道成寺に引き続き、こちらも命の入ったような人形の動きや表情に圧倒された。

道成寺(1976年製作の映画)

4.0

人形を用いたストップモーション作品だけれど、アニメーションのようになめらかで不自然さがない。安珍清姫伝説を元にした作品で、わたしはこの話が大好きなのでとても満足をした。人形を使っていることもあり表情の>>続きを読む

散り行く花(1919年製作の映画)

3.5

指で無理やり作りだした笑顔に漂う哀愁⋯。 無声でも痛いほどに伝わってくる、愛も非情も。90分という最近の映画と比べると短い尺でも、登場人物の作り込みが念入りで、少女と少年には感情を入れ込んでしまうし、>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.0

期待をし過ぎてしまったところがある。勿論心に訴えかけてくるものはあるのだけれど、それ以上にむず痒く感じる部分の方が多かった。特攻隊員の生き残り、敷島の再生の物語としては良かったとは思うが、わたしはもっ>>続きを読む

男女残酷物語/サソリ決戦(1969年製作の映画)

3.8

60年代のイタリア映画のバチバチに決まった色彩感覚やインテリア、セットを堪能できる最高映画。それでいながら、男性性に振り回されることの愚かさとか、男と女の性のあらそいをポップに描いていて、内容もとにか>>続きを読む

処女の泉(1960年製作の映画)

3.5

神の御恵みと言いたくなるような美しい場面が多数ある一方で、神の不在を思い知らされる、あまりにも救いのないストーリー展開。宗教的・寓話的な内容だけれど、無知には難しい話というわけでもなく、聖書の中身もロ>>続きを読む

楢山節考(1983年製作の映画)

3.8

あまりにも力強くて生命力の高い作品。映画を観賞したあとにここまで疲れを感じたのも久々だった。生物の捕食や交尾の場面を時折挟んでくる、それと共に映し出されるのはそんな生物と同じ、生き物としての人間。生き>>続きを読む

美しさと哀しみと(1965年製作の映画)

3.5

男たちを腑抜けにして誘惑して騙し切ることは容易なのに、だいすきなひとの前ではいつも調子が狂ってしまう、そんな 加賀まりこの演じるけい子が本当にかわいい。''あなたのために''と''自分のために''の同>>続きを読む

秋津温泉(1962年製作の映画)

4.5

自分の命を救う出会い、それでも 男からすれば戦後のどさくさの中での、どうってことのない恋でしかなくて、でも女はその恋を孤独の中でゆっくりと愛へ変容させながらひとり宿であのひとが来る時をずっと待ち続けて>>続きを読む

お前とわたし(1965年製作の映画)

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宇野亜喜良展にて鑑賞。人と絵が繋がる瞬間。あたたかい手。極限まで皮膚や線の質感を大切にした作品。

地獄(1960年製作の映画)

3.5

地獄と言っても生き地獄と死んだ後に行く地獄のふたつがあるが、今作はどちらの地獄も巡っていく最悪で最高なストーリー展開。物語前半では、あまりにも多くのひとが死に、後半では漏れなく全員が地獄に落ちて阿鼻叫>>続きを読む

悲愁物語(1977年製作の映画)

3.7

ひとりの女として幸せに生きたかった…とかなんとか言いながらも自己憐憫に溺れて不幸な方へと進んでいってしまう矛盾とか愛憎の末の執着とか、誰しもが持ち合わせているずっと奥にある気持ちの悪い感情、を剥き出し>>続きを読む

サチコの幸(1976年製作の映画)

3.3

赤線地帯で生きる女と、その周囲の、色んなタイプの人間たちとの交流。サチコのあっけらかんとした優しさがちょっぴり悩みすぎな人間たちを救ってくれる。明るいけれどほんのりと切ない、人生ってそうそううまくいか>>続きを読む

花様年華(2000年製作の映画)

4.0

プラトニック・ラヴ⋯。 簡単にどうにか出来てしまうような恋愛を大人になってからしてしまうのは、あまりにも深みがない。どうにでも出来てしまう状況の中で面倒臭い心のほうで繋がろうとしたふたりの純粋で素朴で>>続きを読む

中国の植物学者の娘たち(2005年製作の映画)

4.0

画面という隔てがあるのにしっかりこちらまで湿度が伝わってくる感じ、テーマこそ違えど青いパパイヤの香り以来だった。上手くやらなきゃなのは本人たちが一番分かっているだろう、それでも愛に生きてしまう、そんな>>続きを読む

君は裸足の神を見たか(1986年製作の映画)

3.2

間違った選択をしてばかりの10代。不安定なこころをそのままぶつけることで周りを傷つけて、飛び散った硝子の破片が自分をも傷付けるようなくるしさ。そんな負のループから一生抜けられないような気がするけど い>>続きを読む

放課後(1973年製作の映画)

3.2

大人だって子供だって完璧に生きているひとなんて居ないけど、子供は大人のことを完璧に生きなきゃいけないものだと、そうだからこそ自分たち子供たちより威張っていられるのだと思っていて、そうでない姿を見てしま>>続きを読む

双生児 GEMINI(1999年製作の映画)

3.8

内容もさることながら、あまりにも演出が素晴らしい。日本特有の色彩や衣装、文化にサイケ的演出を加えることで唯一無二の塚本晋也の世界を創り出している。静かなシーンが急にそれと真反対なカオスなシーンに切り替>>続きを読む

羅生門(1950年製作の映画)

4.0

十八にしてやっと黒澤映画デビュー。日本三大監督のうちのひとり、とは言われているけど、黒澤は他のふたりより頭ひとつふたつ抜きんでて有名だと思う。世界のクロサワとまで言われているし。でも、このカメラワーク>>続きを読む

女は二度生まれる(1961年製作の映画)

3.8

どの時代だって、自分の好きなようにに生きている女は卑しいと思われがちだけれども、若尾文子演じる小えんは寧ろその潔い自由さが純粋で可愛らしい魅力となっている。少女らしくもあり、それでいて色っぽい⋯。 劇>>続きを読む

丑三つの村(1983年製作の映画)

4.0

津山三十人殺しを題材にした映画と知りながら観たので、夜這いや主人公が村八分にされる場面が少々長いなと感じたけれど、その動機となる部分を丁寧に描くことで終盤30分の大殺戮が只只惨いだけの場面にならなかっ>>続きを読む

HOUSE ハウス(1977年製作の映画)

4.0

サイケデリックな映像に日本らしさ満載のオカルト物語、そして確かに香る昭和のにおい!態とらしい演技と詰め込みすぎて逆にチープになってる演出がかわいい♡もう最初から最後までずっと楽しい。でもちょっぴりノス>>続きを読む

狂った果実(1981年製作の映画)

3.7

ポスターの蜷川有紀に惹かれて鑑賞。ロマンポルノというにはあまりにも暴力的。自分勝手なのは若さ故の魅力だけれど 成長を忘れたまま大人に近付いてしまった時、どうにでもなることがどんどんと少なくなってきて最>>続きを読む

津軽じょんがら節(1973年製作の映画)

4.0

斎藤真一の絵が使われているのを知り鑑賞したのだけど、しっかり面白かった。荒々しいけど細部まで拘り抜かれた筋書き、そして潮とか古い家の匂いがしてきそうな映像。まあとにかく気持ち悪い。この狭い町の窮屈さ陰>>続きを読む

雁の寺(1962年製作の映画)

3.5

お経がお経としてでなくBGMとして存在しているのが面白いし寺が舞台でないと出来ない演出。やはり煩悩は全てを狂わすのです。私事だけど、今年に仏教系の大学に入学して最近は毎週行われている礼拝に毎度参加して>>続きを読む

武蔵野夫人(1951年製作の映画)

3.7

まちがった道徳と自分に与えられた役割を守る人間に不満が溜まっていくことでいつかその間違った道徳の殻が壊れるという 耐えの姿勢を見せる道子の信念と決意、古風な考え方であるけれどその自己犠牲がうつくしくて>>続きを読む

女性上位時代(1968年製作の映画)

3.5

亡き夫の残したビデオを見て性を探究するようになる未亡人。気になることは全部知りたいの!そんな顔して指南書の頁をめくるミミの柔軟的な考え方と行動力はまるで10代の少女のような軽やかさ。サディズム的なビデ>>続きを読む

按摩と女(1938年製作の映画)

3.8

フィーリング・ラヴ…。東京の女に潜む影、視覚的な情報にかき消されて見えなくなってしまいがちなもっと奥の方を見る能力が長けているのは盲目の按摩であった。ふたりがすれ違う場面、感覚を研ぎ澄ます按摩の鋭さに>>続きを読む

銀座化粧(1951年製作の映画)

3.5

決してうまくいくことばかりではなくて、でも不幸せかと言われるとそうでもなくて、そんな普遍的な日々を送る 女給であり母親である一人の女を田中絹子が好演。働いている間、子供の面倒を見ている間、気になるひと>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.0

今までに観た 好きな漫画の映画化作品の中で1番と言っていい程に満足している!浅野いにおの創る物語を読んだり観たりすると、ある筈のない記憶が急に呼び覚まされるような感覚を覚える。それが堪らなく好き。きっ>>続きを読む

地獄門(1953年製作の映画)

3.5

大映初のカラー映画。日本独特の色彩感覚にうっとり。何処で止めても美しく華やかな極彩色。くっきりとした質感の中、それでも京マチ子演じる袈裟の儚さや健気さは淡く柔く存在していた。映像とは裏腹に物語は陰湿で>>続きを読む

東海道四谷怪談(1959年製作の映画)

3.3

日本の文学って、もう随分と前から確立されて居たのだなと思う。物語としてしっかり完成されているので良い意味で古さを感じさせない展開をしている。何となくのあらすじは理解しているつもりで見たけど、伊右衛門の>>続きを読む

裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)

3.8

ジャンヌ・ダルクの尋問調書をベースにした無声映画。この97分間の中で描かれるのは、英雄としてもてはやされた凛々しく勇敢な戦士ではなく、信仰深い19歳の少女が大人たちの口車に乗せられ死へと近づいてゆくす>>続きを読む

骨までしゃぶる(1966年製作の映画)

3.5

文字通り骨までしゃぶるように遊女を扱き使う遊郭の中で簡単に腐ってやらずに いつだって自分の幸せのために貪欲でいる、そんなお絹の姿に 人間が生きる上で大切なことを学べたような気がする。天真爛漫で生命力の>>続きを読む

赤線地帯(1956年製作の映画)

4.5

《女》を撮ることに定評のある溝口健二。今までの作品よりも多くの女の生き様にフォーカスした本作は彼の遺作として相応しいものだと思った。普段の作品では長回しを多用するが、赤線地帯では動きのあるカメラワーク>>続きを読む

越前竹人形(1963年製作の映画)

3.8

今作は撮影技術が素晴らしい。白黒のフィルムは人間よりも自然の方が映えると思っている。今作に出てくる竹やぶや草木、淀川、決して廃れないうつくしさ。膨大な自然と音楽だけで不穏な空気を作り出す。そして 若尾>>続きを読む