原田太喜

ミッシングの原田太喜のレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.2
 『Missing』鑑賞しました!テーマがテーマだけに重く、スカッとしないが観る価値充分な映画でした!吉田恵輔監督作にハズレ無しと再認識!

 6歳になる一人娘が行方不明になり、その両親がなんとか娘を見つけようと奮闘するも心身ともにすり減っていく‥というストーリー。『空白』と同じく当人不在映画である今作だが、やはり救いのない話であった。ネットでは誹謗中傷が連日続き、耐え難い喪失感に押しつぶされそうになる。

 主演の石原さとみさんの演技は圧巻で、悲痛すぎる演技は見ている側の胸も締め付けさせる。自身がアイドルのライブを満喫していたさなかの行方不明事件ということもあり、強い自責の念からがんじがらめになっている様子。
 夫役の青木崇高さんは感情的にならず冷静であろうと努めているが、娘の行方不明に深く傷ついている姿が垣間見える。やっぱり青木崇高さんの演技が好きだな〜と。夫の涙するシーンはどれも良かった。

 全編を通してシリアスだが、ところどころ笑えるシーンやセリフも。夫と嫁の弟との謎の間や、『深呼吸っ!』『虎舞竜‥?』『事実が面白いんだよ』や、警察署の窓口で泣き崩れているときのTシャツに『Everything will be fine』など思わず気まず過ぎて笑ってしまう笑。

 報道のあり方や、しょうもないことで揉めている人の姿、ネットでの誹謗中傷などが随所に差し込まれ、こんな狂った世の中で自分はどうあるべきか考えさせられる。散々辛いことばかりが映し出される中でわずかに救いの兆しが示される終盤はボロボロに泣いた!
 確かに娘はいなくなったが、愛されていた娘が確かにいた事や夫婦の行動で救われた存在が確かにいた事など実感できる名シークエンスだったと思う。
原田太喜

原田太喜