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ミッシングのtierraのネタバレレビュー・内容・結末

ミッシング(2024年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

受け止めきれず、とりあえず感じたことを。

行方不明になった子供の親の視点を通じて、人が喪失したものが露わになって行き、見るものに問いかけるという作品・・・
の様な気もするが、そもそも人はそういうものではないかという気もする。

冒頭からミキサー車、海、コンクリートのインサートときて、クシャクシャになったチラシの画を抑えようとするカメラマンなど意地悪な要素盛りだくさんでキツい。1番はロングインタビューのところ。トラブリューじゃんと思ったし、言語化されたらそりゃつい笑っちゃうし、まじでキツくてどう処理していいかわかんないです。

「空白」は人の不意打ちの優しさが見られる作品だと思っていて、それが好きなんですが、これは人の攻撃性があちこちに散りばめられている印象でした。フレームの外にもキツい要素が散りばめられてる感じ。主になる話もキツいのに、商店街で言い争う男女、スーパーでクレームをいれるシニア、盗まれる寄付金みたいな。キツい。

また、メディア論的な要素もあると思いました。悲惨な事実もそのまま映すというお題目のもと、「意味を作ってしまう」編集はするっていう。

石原さとみさんの演技は凄まじくて、嗚咽や叫び声はもはや呪詛だと思いました。
一方で、物凄く辛い環境にいるのに、他人の子供の無事への喜びと失望が入り混じった感情を出すシーンも素晴らしかった。その後、台詞で明確に吐露されるけどそれがなくてもなに考えてるか伝わりました。

鑑賞前からこういう終わり方するだろうなと思ってたら案の定。辛すぎる。

娘の行方がわからなくなる話であって、それ以上の大きな展開はない作品。
でもめちゃくちゃ引き込まれてしまう。予告編でポップコーン貪り食ってたカップルが劇中は食べるの忘れてたのか、エンドロールでふたたびポップコーンをかきこみ始めたのが印象的でした。

救いは無いし、希望とも言えない。それでも、言語化できないが何か前向きに感じるラストシーンに震える。
あの瞬間、彼女の中では何かが進んだんだろうと思う。というかそう割り切るしかなくないですか。死ねというのか。
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