ぽんぽこ

ミッシングのぽんぽこのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
3.4
吉田恵輔監督、『BLUE/ブルー』『空白』を観て、約半年くらい前から楽しみにしていました。
先日の夕刊で石原さとみが「これから何年たっても『転機は?』と聞かれたらこの作品です。今までの華やかな役柄に自分も飽きたし、世間からも飽きられる…。とお答えになっていました。


映画の帰り道、最寄りの駅に降り派出所の前を通ると、今から21年前の今日、小学4年生の女の子が行方不明になり、今も時折り節目でニュースに映る女の子の顔写真入りのポスターを見ました。
私が娘を妊娠中だった時期で、実家の母と話題にしており、気にしていました。   同級生の子が進級したり、成人式を迎えたとか、考えたら堪らんやろなと思いました。




森川紗織里(石原さとみ)の娘、8歳の美羽(有田麗未)が、沙織里の弟圭吾(森優作)に預けてから、自宅へ帰るまでの僅かな距離で失踪してから、3ヶ月が経ちました。
いっこうに手掛かりも無く時間ばかりが過ぎて行く中、なんとか世間からも忘れられない様に、地元のテレビ局砂田(中村倫也)を頼り、自分達が出来る限りのビラを配ったり、駅前で声がけをしたりするものの、聞こえてくるのは、SNSでの誹謗中傷ばかり。
事件時に、沙織里が子育ての息抜きにアイドルのライブに行った事が、育児放棄にとられたり、視聴者の空想はどこまでも無責任で弟がどうも怪しいなどと、砂田のテレビ局の人間までもが、疑っています。
夫の豊(青木崇高)も、仕事の合間を縫って出来る限りのことを妻と協力しているはずなのですが、沙織里から見たら温度差があるようで、沙織里ひとりが空回りしているようでもありました。
あんなに周りの人に当たり散らしてたら、皆、怯えて去っていくぞ、とは思いました。


21年前の実際の事件の時も、藁にも縋る思いの親御さんに、重要な事を知っているなどと言い、お金をゆする愉快犯がいた事を思い出しました。
第三者からしたら、嘘だと分かっても、当事者はちょっとでもいいから手掛かりが欲しいという、人の足元を見た犯行やなと、当時ニュースを見て、クソやな、下劣な最低な奴やなとテレビの前で言ってたのを思い出しました。


今だと、顔も身元も分からないからって軽い気持ちでSNSに悪口書いたりする人は沢山いるし、それがまた普段は普通に働いてる人間だったりするのが気持ち悪い。
親御さんは、1日たりとも忘れる事は無いし、楽しい事をしていても喉に刺さった小骨の様に気掛かりで、心の底から楽しめないのではないのかななどと思いました。



シリアスな話しだし、起伏が無くてちょっとダレました。
沙織里の演技が少々過剰気味で実際はもっと憔悴してるんじゃないかななどと思いました。怒るってエネルギー使うし。
ぽんぽこ

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