YutaMaeda

ミッシングのYutaMaedaのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
3.9
僅かな希望に狂わされ、被害者であるにも関わらず屈辱を受け続ける夫婦の姿が観ていてとても苦しい。観ている側も、何度も何度もどん底に叩きつけられる。
あの状況で自分を見失わないことが如何に困難か、石原さとみの演技に打ちのめされた。また、自分だけは常に冷静であろうとした青木崇高が泣き崩れる姿にも感動。押さえ込んでいた感情が一気にこぼれ落ちる瞬間は凄まじい。

メディアもネットも、力になれるはずのものが、逆に苦しみを与える。中村倫也の葛藤も、周囲の無神経なテレビマンの描写も、ネットの書き込みも、全てが辛い。この社会ではそのシステムの在り方、使い方が見失われている事を考えさせられた。

前々作「空白」にも通ずるが、「誰が悪いとも言えない、行き場のない怒りと悲しみ」の表現が吉田監督の凄さだと改めて感じた。
YutaMaeda

YutaMaeda