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ミッシングのKITのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.1
知人に誘われて一緒に見ました。

正直驚きました。非常にリアルで生々しいです。

それは石原さとみさんや青木崇高さんら演じる家族サイドもそうですが、中村倫也さんらメディア(テレビ局)の動きのリアルさが際立っていました。

もしこの映画を家族だけの構成にすると、
悲しみに暮れながら、もがき苦しむ家族のみの映像になります。
そうすると見ている人にとっては、
その家族に「かわいそう…」と共感はできても、
「確かにこういうことあるわ…」という親近感は沸きづらく、フィクションのような少し遠い存在になりがちです。

しかしそこに我々と同じような"平常心"のメディアサイドが家族に介入することで、映画館内の我々と映像内の家族との非常に良い接着剤になります。

単に「この家族かわいそう」という浅い所から
「こういう人が日本に今何人いるんだ」という所まで考えさせられていきます。
(あくまで私はそう考えてしまったという感じですが)

展開についていろいろとご意見があるかとは思いますが、
現実問題このような事件に進展があることは非常に稀です。だからこそ今回の映画がリアルだなと私は思うのです。
進展のない中でこれだけ周りの人が振り回されているのですから。



演技や細かい設定などについては色々ありますが、今回の映画は石原さとみさんが、女優として新たな境地に到達するために挑んだものと聞いておりました。
映画全体的に確かに今までの石原さとみさんとは違う印象は受けました。
しかし本予告編でもファーストカットになっている石原さとみさんの
「なんかまためちゃくちゃ酷いこと書かれてんだけど」という演技は、正直「シンゴジラ」などの今までの石原さとみさんとあまり変わらないなと思っていました。

映画鑑賞後に監督と石原さんのインタビューを拝見したところ
「あのシーンを一番最初に撮りました」と書いてあり、大変納得いたしました。
きっと皆さんで試行錯誤し、本気で演技を探りながら撮影を進めていって、ミッシングが完成したんだろうなあと。


素晴らしいものを見せていただきました。
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