カプカ

ミッシングのカプカのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
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行方不明の子供を探す母が辛すぎる境遇ゆえにボロボロな見た目と壊れていく姿を演じる石原さとみさんの迫力が凄すぎます。
そんな母親を中心とした群像劇で、それぞれの不完全さや上手くいかなさを交えながら、地獄のような世界で隠れた光を見つけていく優しさが突き刺さる映画でした。

𠮷田恵輔作品ではモブ的な登場人物が物語と関係ない動きをしてることが多いのだが
今回はそれを群像劇的に映し、愚かな人間の内側の事情や、自分とは関係なく暮らしてると思われた人々の中にも声をかけてくれる存在がいて、宙吊りの地獄から光が差し込むという話にしてるのが良かった。

最初は『空白』の姉妹作と始まった作品なので、前作では一方的だったマスコミの描き方を踏み込んだ内容にしていて
中村倫也さんの視点から現場では真摯に向き合っても局の意向があったり、そもそも事件があると面白がって見てしまう状況など、何故あの形になるのか描かれている。

母親が混乱していて苦しい状況ゆえに言わなくていい言葉が漏れ出る瞬間を映すことが多い展開だったが
いつもはコメディを多く撮って来て、シリアスな時でもギャグを入れてきた𠮷田監督だが
色んな意味で笑ってはいけないツッコミの瞬間が出てくるのは意地悪な監督らしいなと思った。
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